土肥:もう少し事例を教えていただけますか?
富岡:クレジットカードの決済代行を手がけている「GMOペイメントゲートウェイ」さんには、約30人の営業マンがいるのですが、新規営業で10万人以上の人と名刺交換をされていました。でも会社は、どうすればいち早く取引情報を共有できるのか――といった課題を抱えていらっしゃいました。
数多くの会社に「カード決済をやりませんか?」と声をかけて回られたので、見込み客数が膨大な数に。そうなると、なかなか顧客をフォローするのが難しくなってしまったようです。そこですべての名刺をデータベース化して、契約が切れそうなところにはきちんとフォローしたり、新商品が出たときにはそのタイミングでメールを送ったりして、契約の更新率や受注率をアップされました。
土肥:でも、それって名刺でなくてもいいのでは?
富岡:おっしゃるとおり、名刺でなくてもいいんですよ。既存客であればデータがきちんとあるので、フォローできますよね。でも見込み客については、なかなか名刺以外のツールでは難しい。
土肥:それは、なぜですか?
富岡:例えば、名刺が100枚あっても、その多くは活用されていないことが多いですよね。名刺100枚のうち97枚が活用されていなくても、その97枚の中から1年後にはひょっとしたら商談が成立するかもしれません。担当営業が変われば受注するかもしれません。しかし名刺を共有化していなければ、またゼロから新規開拓をしなければいけない。ゼロから始めるよりかは、会社の人間が一度でも会ったことがある97人に、なんらかのアクションをかけたほうがいい。一度でも会ってくれたということは、なんらかの可能性があったということなので、売上アップにつながりやすいんですね。
もちろん97人のデータを何らかの形できちんと保存していればいいのですが、残していない会社は多い。でも名刺という形では残しているんですよ。
土肥:おー、そこで日本人が名刺を大切にする気質が生きてくるわけですね。大切にしなければ「この人とはもう関係ないから、いいや」とゴミ箱に捨てますからね。
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