最後まで読まないと要件が分からない、相対的な日付で“いつ”の予定なのか分からない――。こんなメールは社会人としてNG。今回は、相手がすんなり読み進められるメールの作成術をご紹介しよう。
職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。
本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。
明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。
我が家の近くにあるカフェは、時々臨時休業をする。店の前に張り紙が出るので、「休みなんだな」いうことが分かるのだが、この張り紙を見るたびに店主のセンスに感心する。いつも、こんな風に書かれているのだ。
「明日(8月13日)は、臨時休業いたします」という予告が出たり、当日になると「本日(8月13日)は、臨時休業です」と掲示されたりしている。「明日(8月14日)から、通常どおり(朝8時オープン)営業です」などと今後のことも書いてある。
とても気配りがある張り紙である。
この手の張り紙、街中をよく観察してみると、「本日、臨時休業です」「明日は、通常営業です」と書いてあるものが多い。
「本日」が、この張り紙を読んでいる「今日」なのか、はたまた、「明日のこと」なのか分からないことがある。例えば、その店の前を夜22時ごろ通ったとすると、「臨時休業」の張り紙は、今日の休業を知らせるものだったのか、それとも、明日の休業のためのものなのか、どちらにもとれる。早朝に通る際も、「これは、昨日を指しているのかな。夕べから貼ってあったのかな」と、あれこれ考えてしまう。
近所のカフェは、かならず、「日付」入りで告知しているので、どの時間帯にその店の前を通ろうと、張り紙に書かれた内容について誤解が生じない。だから店主の気配りは素晴らしいと思うのだ。
こういうことは、日常にやり取りしているメールでも当てはまる。
誰かからか受け取ったメールを出張などの事情で数日後に開くと「今日の会議が……」云々と書いてあり、「え? 今日って会議あったっけ?」とよくよく見てみると、「昨日の話だった」なんてことがある。
「来週か再来週、A社を訪問したいのですが、ご都合はいかがですか」と書かれていても、その「来週」「再来週」がいつをさすのかつかみづらいことがある。メールの送信日を確認し、「ええと、だから、来週ってことは8月12日週のことね」などといちいち変換しなければならず、読み手に負担をかけることになる。
メールに「昨日、今日、明日」とか「先週、今週、来週」といった相対的な表現が書いてあると、ミスコミュニケーションが起こりやすいので、できるだけ、明示的に記載したほうがよい。
例えば、「昨日(8月6日)、○○さんから連絡がありました」とか、「来週(8月19週)に一度打ち合わせをしたいのですが」などと、絶対的な日付を書き添えるだけで、誤解を生まなくてすむのだ。
相対的な表現というのは、軸となる時間が双方で合っているときしか使えないものだ。メールは書く側と読む側とでたいていの場合、時間軸が異なる。朝送ったメールを夜読むこともあるだろうし、ある日送ったメールが翌日読まれるというケースもあるだろう。場合によっては時差のある外国で読まれることもあるので、「今日」が「昨日」だったりすることもありうる。
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