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» 2013年07月26日 11時00分 公開

なぜ「デキる人」は話がうまいのか?あなたの話の9割は相手に伝わっていません(2/3 ページ)

[松本幸夫,Business Media 誠]

あがり症のせいで、人生で損ばかりしてきた私

 私の「あがり症歴」は古くて長い。自分で言うのもなんだが、私はもともと記憶力のいい子どもで世界各国の首都や歴代天皇の名前など、小学校低学年でスラスラと言えた。だいたい1回で「ペルー、リマ。エクアドル、キト。チリ、サンティアゴ……」と読みあげるだけで覚えてしまっていた。

 「考える力」もあった。例えば小学生のとき、先生が「ハイ、じゃあこの問題の分かる人?」と質問する。そんなとき、周りの子どもは皆「うーん」とうなって考えていても、私はクラスでいちばん早く正解が分かった。

 さて、ここであがり症でもなんでもなければ「ハイ」と手を挙げて、先生からも褒められる。周囲からも「スゲエー」などと言われるわけだ。

 これは小学生に限らない。社会人の会議の発言などもよく似た構図だろう。つまり、堂々と自説を主張したり、それが正当であれば周囲から認められて評価されるのである。

 私はすぐに分かっても手を挙げられなかった。別に肩とか腕が痛かったわけではない。「ハイ」と手を挙げて、そのあと指名されるのがまず「恥ずかしい」のであった。また、立ち上がって皆の前で答えを言うと、震えてしまって顔が赤くなる。つまりは強度のあがり症だった。

 それがいやで、答えは分かっていても手を挙げられないという状態が続いていた。さすがに小学生なのであがりを克服する本などを読むこともないし、ジレンマはずっと続いていた。

 そんな私でもテストのときだけいい点なので、周りも不思議に思っていたようだ。さすがに担任の先生だけはそんな私の性格を見抜いてくれていたので、通信簿では評価はよかった。しかし実際には、自分のほうがずっと先に分かっているのに、あとからできた子が手を挙げて褒められている。それを見るのはとても悔しくてイヤなものだった。

 あなたは似たような経験を、会議や集まりでしたことはないだろうか? 「そんなこと、とっくの昔に俺だって考えていたんだ」「なんだ、それで褒められるのか」といった感情を抱いたことはなかったか。

 能力でなくて、あがり症のために周囲から認められない。これは小学生にとっては悔しいし、どうしたらいいか分からない大問題であった。私が小学生の頃はこんなことがずっと続いた。

恋愛でも損をしていた

 そして、あがりがマイナスに働いたのはなにも授業ばかりではなかった。私が小学校3年のときの話になるが、どうやら当時の私は可愛らしい男の子だったらしく、よくクラスの女の子から誕生日に誘われた。その女の子たちから告白されることも多くモテる男の子だった。だが、私は本命と思っているKさんに好かれたかった。ただ、1回も「好きです」とは言えなかった。彼女から「松ちゃん大好き」と言ってくれても、私は堂々と口にできなかった。

 やがて4年生になり、クラス替えがあり彼女とは別のクラスになった。ある日、学校の屋上で遊んでいたら、そこに彼女が同級の男の子と手をつないでやってきた。「こいつが前に好きだった奴? ふーん」と、そのKさんの「彼氏」は私をジロリと見ると、2人で手をつないで楽しそうに駆けていった。

 分かりやすく小学生時代の話をしているが、これは大人でもまったく変わらないだろう。異性に「あがり症」のために告白することができない人、それが小学3年の私だった。見かけは悪く頭も冴えないような男でも、先に告白されたなら、彼女はそっちの男のほうを選ぶということもあるわけだ。

 つまり、あがり症だと理想の女の子と付き合うような「夢」が達成出来ないことがあるのだ。あるいは仮に告白できたとしても、自分の気持ちがうまく伝えられずにフラれてしまう可能性も大きいだろう。

 たかがあがり症、されどあがり症で、こんなマイナスはもうこれ以上は味わいたくないものだ。この話は恋愛だけでなく仕事、経済、家庭という人生での大事な場面のすべてに共通することである。

 「あがらずに堂々と、自説を言える自分」「異性に自然に接することのできる自分」

 私はずっとそうなりたいと強く願ってきた。あがり症であるがゆえに、気持ちや意見を伝えられずに終わりたくはなかったのだ。

 その後、仕事は大成功して異性にはモテまくって……とは言えないけれども、少なくとも「あがり症」は克服できて、人から「先生」と呼ばれるような仕事にも就けて、今は思うように仕事ができている。

 では、その私が習得したあがり症脱却法について、さらに詳しく説明しよう。これにより、あなたも日常の場面で感情をコントロールすることが出来るようになるだろう。

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