第4回 新規事業開発のススメ――社内起業家として成功する“独立プロフェッショナル”の仕事術(1/2 ページ)

会社にいながらにして新たな事業を創造でき、やりがいを感じながら毎月決まった報酬をもらえる。事業を軌道に乗せたらボーナスも跳ね上がる――。そんな働き方ができるのが、社内起業家だ。

» 2013年10月23日 11時00分 公開
[久保修,Business Media 誠]

“独立プロフェッショナル”の仕事術

 「情報収集」「企画」「交渉」など、独りで生き抜くためのプロフェッショナルの技は、組織で働く人にとっても役立つものがたくさんあります。

 本連載では、独立したプロフェッショナルワーカーとして複数の企業と契約を結ぶインディペンデント・コントラクター(IC)が、自ら培った技を、会社組織で活用するためのノウハウにおきかえてご紹介します。


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 会社の看板と資金、人材を活用して、会社の未来を背負って事業を創造し、やりがいを感じながら毎月決まった報酬をもらえる。そして見事に事業化を成し遂げ、軌道に乗せたらボーナスもポンと跳ね上がるなんて最高じゃないですか? しかも、失敗してもリスクは会社が持ってくれているのですよ。

 独立、起業して借金まみれで廃業したらどうなると思いますか? 日本では最悪ですよ。シリコンバレーを例に出すなど、国を挙げて起業を煽っているようですが、安易に起業すべきではありません。“数打ちゃ当たる”の1つに乗せられてはいけません。

 あなたが、事業開発や新商品開発の仕事で飯を食いたいと考えるなら、まずは「社内起業家」としてトレーニングをして実績を積み上げることを強くお勧めします。

社内起業家が一番

 私は現在、大企業や中小企業の新事業開発バカのIC(インディペンデント・コントラクター)として独立10年目を迎える、事業プロデューサーです。社会人になる時から「自分で商売したい」「独立したい」と強く思い続けて来た私の経験から、最もお勧めする「社内起業家」という仕事のスタイルについて、実体験に基づいて詳しくご紹介します。

 ここで言う社内起業家の定義は、「クリエイティブな仕事が好きで、新商品や新サービスを企画し、実際の事業として成立させていく人で、実際に企業内でそれを実行し続ける人」としておきましょう。

社内の大きな壁を突破する

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 社内起業家を目指す過程には、2つの大きな障壁があります。「社内に新規事業開発や企画を担当する専門部署があるかどうか」と、「あなたがその部門に所属しているかどうか」です。

 社内に専属の部署があってあなたがそこに所属している場合は、そこで思う存分、力を発揮して下さい。しかし、そこに配属されていない場合はちょっと困ってしまいますね。私も大手企業のグループ会社に勤めていた時、営業部門の立場にあっていろいろと苦労しましたが、実力行使の上、突破口を見つけ出しました。

 それは「自分の考えた新しい商材を買う客を見つけ出してから、事業プランとして社内稟議を上げる」という戦法です。

 最初の頃は、顧客の声(ニーズ)を聞いて、ここにビジネスチャンスがあると直属上司に相談したりもしましたが、「それは企画室の仕事だ、今は自分の仕事に注力しろ」と一蹴されていました。

 「会社のためになるんだ」という大義名分を持って何度か挑戦しましたが、「この上司を経由していたら無理だ」と思い、その後の事業アイデアは、簡単な企画案を作って企画室に提案することにしました。しかし、ここでも現場や顧客の声が理解できない担当者に軽くスルーされ、悔しい思いだけが残ったのを今でも覚えています。

 実は、大企業であればあるほど、新規事業開発の経験がない上司や管理職が少なくありません。だから答えの見えない新規事業について何ら判断する基準を持っていないのです。つまりそれは“決断力が鈍くなる”ということを意味しています。

 また、事業開発部や経営企画室のような部門が設置されている場合、新規事業開発はその部署の人間がやるべき仕事で、「他の部署に所属するスタッフの考えることではない」という風潮が社内に充満して事業ネタを潰しているケースが多いのが現実です。

 もう1つは、そもそも専門部署がない場合ですが、これも大手生保の関連会社に在籍している時に経験し、最終的には社内起業する道を切り拓きました。

 その会社は専門部署がないため、アイデアマンの社長が指名したスタッフが“泣く泣く動く”というのが常でした。社員が自ら発案するという空気はなく、持ち込む相手も不在。社長には怖くて近づけない……というところでした。ここで新しく地方銀行との提携ビジネスを立ち上げた時も、ひそかに持ち掛けた事業プランに賛同する銀行が現れてから社内を通す――という荒業で実現しました。

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