「伝える」前に知ってほしい、「伝わる」コミュニケーション6つの前提ボクの不安が「働く力」に変わるとき(2/3 ページ)

» 2013年11月08日 12時20分 公開
[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),Business Media 誠]

前提1:コミュニケーションの意味は、相手の反応にある

 自分が伝えたことと、相手が受け取った内容は違うかもしれません。それを知るための手段が「相手の反応」です。「伝わった/伝わらない」というような直接的な言葉に加えて、相手の表情や声のトーン、雰囲気などを観察することで、相手に伝わっているかを知ることができます。

前提2:コミュニケーションには、「言語」と「非言語」がある

 コミュニケーションというと、多くの方が「伝え方」をメージするように、

「コミュニケーション」=「言語」

 と思われています。

 一方、「目は口ほどにものを言う」と言いますが、人は言語以外にも、体の姿勢、しぐさ、顔の表情、呼吸、声など、「非言語」(=五感)でも相手とコミュニケーションしています。つまり……

 「コミュニケーション」=「言語」+「非言語」

 なのです。

 これも当たり前に聞こえるかもしれませんが、多くの人が職場でやっているミスコミュニケーションを紹介しましょう。

 デスクに座ってPCで仕事をしているとき、視線はモニタを見ながら、手は動かしながら、同僚や部下の話を聞いていることはないでしょうか。このとき、言葉では「Yes」と答えていても、態度は「No」を示していることになるので、同僚や部下は「私の話を聞いてくれていない」と感じるのです。手を止めて、同僚や部下の方に視線を向ける(つまり、言葉と態度を合わせる)だけで、伝わり方は全然変わってきます。

 また言葉の意味以上に、言葉の抑揚のほうが、伝わる印象に大きな影響を与えることもあるでしょう。言語に加えて、非言語によるコミュニケーションが大切です。

前提3:言葉にするとき、多くの情報は省略される

 企業研修の際、私は参加者に「昨日食べた夕食を教えてください」という質問をよくします。すると「カレーです」「焼き魚です」などのように答えてくれます。

 そこで私はもう一度問いかけます。「昨日食べたのはカレーだけですか?」「焼き魚だけですか?」。すると、多くの人は「サラダも食べました」「煮物とごはん、味噌汁も食べました」のように答えてくれます。

 このように私たちは考えや体験を言葉で伝えるとき、象徴的なものがまず頭に浮かんで、それを言葉にしようとします。その結果、「実際の考えや体験よりも、情報が省略・削除されてしまう」という特徴があります。自分は十分言葉にして説明しているつもりでも、情報は省略・削除されるので意外と伝わっていません。そして、意思疎通が図れなかったり、誤解が生じたりします。

 省略された情報を確認するためにも、「問いかける」「聞き出す」という作業が必要になってくるのです。

前提4:出来事に対する解釈は人それぞれ

 会社のイベントでバーベキューが計画されていたとします。もし、その日に雨が降ったら、バーベキューを楽しみにしていた人は「あ〜あ、せっかく楽しみにしていたのに」と思うでしょう。一方、アウトドアが苦手な人は、「雨が降って良かった」と思います。

 このように、同じ出来事を体験しても私たちの解釈は人それぞれです。物事をネガティブにとらえる人もいれば、ポジティブにとらえる人もいます。

 ある出来事に対し、相手がどのように解釈しているかは分かりません。であるからこそ、同僚や部下を望ましい姿に導くためには、まず、相手の考えを尊重すること、相手の考えに合わせ、信頼関係を作ったうえで望ましい姿に導くことが必要なのです。

 アウトドアが苦手な人に、「普通さ〜、会社のイベントなんだから積極的に出るべきなんじゃないの?」などと一般化して伝えるのはいざこざの元です。

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