残念にならないプレゼン――ピラミッドストラクチャーを使うマッキンゼー流仕事術(1/2 ページ)

クライアントに分かりやすく納得してもらうプレゼンとそうでないプレゼンの違いは、アイデアがリアルであるかどうか。単なる思い付きではなく、実現できるものであるのか、を見るためでもあるのです。

» 2013年11月12日 08時00分 公開
[大嶋祥誉,Business Media 誠]

『マッキンゼー流仕事術』について

なぜ、マッキンゼー出身者は各業界で活躍できるのか? その秘密はマッキンゼーの新入社員研修にありました。本連載ではマッキンゼーの厳しい新人研修を著者のエピソードと共に紹介しながら、そこで叩き込まれるマッキンゼー流問題解決の基本を解説しています。

 この記事は2013年4月27日に発売されたソフトバンククリエイティブの『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』(大嶋祥誉著)から抜粋、再編集したものです。


 ストーリーをしっかり組み立てつつ、プレゼン資料の作り込みをしていきますが、マッキンゼー式では、資料の文章とチャートにも内部の専門家の厳しい指導があります。入社1年目であっても容赦はないのです。

 プレゼン資料の見せ方にも、マッキンゼーでは世界共通のルールがあります。誰が作った資料であっても、「これは何を言いたいのか」が一目で分かるようなものにしなければ、決してクライアントの目に触れるものにはなりません。

 マッキンゼーには、ピラミッドストラクチャーといわれるストーリーとプレゼン資料のまとめるフレームワークがあります。ピラミッドストラクチャーでは、見て分かる通り、必ず底辺には太い事実(ファクト)が柱のように立てられていて、その上にその理由が積み上げられ、そして頂点には、事実と理由から導かれた「提案」が載せられています。

 もし、このピラミッドストラクチャーで描かれる事実の柱が細くて弱いものだったら、明らかにその上にある理由も提案もフラフラしたものになってしまいますよね。そうではないということを、言葉だけでなく視覚的にも納得させることができるのが、このピラミッドストラクチャーだということです。

 ここでは、前回「マッキンゼー流、プレゼンに必要な3要素」で例に挙げた「水を売る」ビジネスのストーリーをピラミッドストラクチャーで展開してみました。このようにまとめてみると、なぜ「水を売る」ビジネスに参入すべきか、ロジカルに納得できるストーリー展開になっています。

 自分ではロジカルに説明することを心掛けているつもりだけど、なかなかうまくできないのが悩みという人もいます。そういった人が陥りやすいのが、ロジカルに説明しようとしすぎて説明が複雑になってしまい、結局何が言いたいのかよく分からなくなるケース。

 まず、プレゼン資料の説明文でもストーリーでも、とにかく「何が言いたいのか」を1文でまとめてみましょう。文字数にすれば最大でも100文字。Twitterが最大140文字ですから、人がサッと読み取れる文量を心掛けるイメージです。

 ポイントは、伝えたいことの1文の中に「余計な説明や言い訳」は入れないということ。どうしてもうまく伝えられるかどうか不安になるので、説明や言い訳を付け加えてしまいたくなるのですが、そこはぐっと我慢。説明や言い訳を考え始めると、そこからまた「何が言いたいのか」がブレ始めてしまうからです。

 そもそも、相手がまだ「どうしたい」というのも定まっていないのに、先回りして余計な説明や言い訳をしてもあまり意味がないですよね。相手を混乱させてしまう要素はできるだけ入れないのが良いプレゼン資料です。

 そして、抽象的でなく具体的な表現をすることも重要。例えば「斬新的な戦略を計画するのが成功の鍵」と言いたいのであれば、斬新的な戦略と言うかわりに、斬新的な戦略とは何かを短く具体的に伝えることが重要。斬新的とはまったく考えなかった新しい顧客層なのか、新しい販売方法なのか、斬新的といってもいろいろな可能性があるわけです。どう斬新的なのか具体的に示すこと。そうしなければ、クライアントの心にも響きません。

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