英語力ゼロのオレがLAでWiMAXルータの現地調達に挑戦ビジネスタブレットのお供に(2/2 ページ)

» 2013年11月25日 11時00分 公開
[森田秀一,Business Media 誠]
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LA街歩きにはGoogle マップ必須! なかったらどうなっていたか

 2日目の午前はトラブル対策でつぶれてしまい、遠出が難しくなったので、地下鉄で行けるハリウッドに行ってみた。

 RadioShackのすぐそばにある7th Street/Metro Center駅から、Hollywood/Highland駅までは地下鉄のRed Lineで15〜20分ほど。そこで降り、そばにあるHollywood Highland Centerというショッピングセンターに入ると、展望台を発見。遠くには例のハリウッドサインが見えた。

Photo Hollywood/Highland駅すぐ上の交差点。目抜き通りの超一等地に見えるのだが、正面にある白い建物が、なんと空き物件である。いいのか?(画面=左)。遠くに見えるハリウッド看板(画面=右)

Photo 現地深夜にホテルで行ってみたスピードテスト結果。下り7.48Mbps、上り1.53Mbps

 さて、この間にOverdrive Proの電源を時折いれて、電波状況をチェックしてみた。総合すると、地下鉄を除くほとんどのエリアで問題なく通信が行えた。ルータのステータス画面とにらめっこしていたわけではないので断言はできないが、通信速度についても、ほぼ常時WiMAXによる接続ができていた印象。ホテルに戻ってから、さして窓際でもないデスクの上に放っておいても、問題なく接続できた。

 2日目の夜には、NBAのシーズン開幕戦をダウンタウン南部にあるステイプルズセンターで観戦した。レイカーズ対クリッパーズという、地元チーム対決で会場は超満員。会場が暗いせいもあるが、掛け値なしに1席も空いていないように見えた。ちなみに、チケットはチーム公式のオークションで買い、A4用紙に印刷してもっていくという方式。1人70ドルほどだった。この会場でもWiMAXは問題なし。

Photo 鉄道Pico駅(このあたりはもう地上駅)側から見たステープルズセンター。バスケットボールだけでなく、アイスホッケーの会場にもなるそうだ(画面=左)。最上段の席だったため、選手はよく見えなかったが、会場の雰囲気を十分堪能できた。特に、相手チームがフリースローするときのブーイングの騒々しさには驚嘆(画面=右)

 3日目からは、朝出かけるとの同時にルータの電源を入れっぱなしにするスタイルで運用してみた。こうするともう、日本でスマートフォンやタブレットを移動中に使うのと同じ。バス乗車中でも、ハンドオーバーによる通信の切断に遭遇するシーンはなかった。「米国って通信料が安い代わりにエリアが貧弱なんじゃない?」という先入観は、完全に払拭された(まぁ、場所にもよるのだろうが)。

Photo Google マップでサンタモニカからホテルまでの道のりを検索。途中のバス停名を表示してくれるのが便利

 3日目にロサンゼルスのダウンタウンから約30キロ西にある海岸エリア「サンタモニカ」に行ったのだが、ここはWiMAXのエリア外だった(公式サイトのエリアマップでも完全に圏外)。そのため、ほぼ常時3G接続モードとなり、フードコートのような広大な空間の奥に行くと、その3G接続もやや心許なかった。

 また、ダウンタウンからサンタモニカ間のルート探しに、Google マップが極めて役に立ったことは特筆しておきたい。旅行出発前、ガイドブックで調べた限りでは、この区間の移動にはバスを使うしかないということだった。しかしロサンゼルスのバス網は、充実しているがゆえに複雑で、紙のガイドブックでは細かな時刻表などをすべて確認することはできない。

 Google マップを使えば「現在地からサンタモニカ」というルート検索をするだけで、最寄りのバス停と時刻を勘案した経路を表示してくれる。しかも、区間途中のバス名も表示してくれるので、英語を読むことさえできれば、バス車内の電光表示と付き合わせることで、だいたいどれくらいの距離を移動したかも類推できる。これには本当に助けられた。

 これは現地に行って初めて知ったのだが、ロサンゼルスのバス停の名前は基本的に通りの名前を2つ組み合わせたものになっている。例えば「Spring/Temple」なら、SpringストリートとTempleストリートの交差点に近いところにある(通りの名前にノースとかウエストとかが付く場合もある)。このルールを把握していないと、バス停の名前は本当にチンプンカンプン。なにかの暗号かと思えるほどだ。

 また、ダウンタウンには、ロサンゼルス市営バスに加え、サンタモニカ市営のバス「Big Blue Bus」も走っている。これも旅行者には分かりづらい。料金はいずれも安価だが、1日乗り放題券の制度は別々。当然、ロサンゼルス市営バスの案内を見ただけでは、Big Blue Busに気付けない。

Photo Google マップのおかげで、安心して観光地の風景を堪能できた(画面=左)。木々はいかにも南国なサンタモニカ。ただ、日差しがキツイわりに肌寒かった(画面=右)

 Google マップはとにかくまとめてルート検索してくれるので、本当に便利だ。今回の旅行でGoogle マップが使えなかったら、移動でもっと手間取っていたことだろう。

 ただ、従来の紙のガイドブックもやっぱりあったほうがいい。降車の意思の伝え方やお釣りがでないといった現地のバス事情は、当然Google マップに乗っていない。

 なお、Overdrive Proのバッテリーには注意だ。朝10時から1台のタブレットでほぼ常時接続していると、夕方15時くらいにはバッテリー残量が最後の1目盛りまで減ってしまった。夜までガッツリ使うなら、モバイルバッテリーを用意しておきたい。

 Google マップとOverdrive Proのコンビのおかげで、4日目の観光はかなりリラックスできた。ホテルのそばにあるユニオン駅を見物。バスターミナルからアクセスしやすいセンチュリーシティへ50分ほどかけて移動するという、気まぐれぶらり旅を満喫した。そこでは、映画「ダイ・ハード」1作目の舞台となったビル(FOX PLAZAというオフィスビルとして普通に使われている)を見ることができて大いに満足だった。

Photo ふらっと立ち寄ったユニオン駅(画面=左)。いかにも歴史がありそうな駅の内装(画面=右)

Photo こちらは映画「ダイ・ハード」の舞台になったビル(実際のロケ地とのこと)。アニメの聖地巡礼をする人の気持ちがよく分かりました

結論「現地調達でなくとも、パケット通信手段は絶対確保すべき」

Photo 車窓から見えたLAX(ロサンゼルス国際空港の略称)の看板。5日間の旅行はあっという間に終わった

 こうして13年ぶりの海外旅行は幕を閉じた。無謀にも英語力ゼロで通信手段の調達にチャレンジしたが、時間がかかってしまったのは残念だった。店に足を運んだり、手続きをするだけで結局のところ2〜3時間は使ったし、筆者の場合はトラブルでさらに2〜3時間、さらに、小心者にとっては無視できないほどの心労も加わった。正直言って、この苦労はもう二度と味わいたくない。筆者にとって米国はモバイルパラダイスではなかった……。

Photo 旅行約5日間の総通信量は約3.63Gバイト。このうち1Gバイトくらいはアプリのオンラインアップデートのはず

 総合的なコスト面はどうだろうか。まず、今回泊まったホテルは、客室内Wi-Fiを1日使うと約10ドル、1ドル100円換算で約1000円かかる。また、国内キャリアの海外パケット定額サービスは1日あたり約3000円。使い方にもよるが、この2つを同時に利用するとなると、1日4000円かかる計算になる(ちなみに、実際泊まった客室にはWiMAXの電波が届いていたので、客室内Wi-Fiは一切使用しなかった)。

 対して、Overdrive Pro本体代プラス通信料を5日間で割ると、1日あたり約3300円のコストになる。単純計算すれば700円お得だ。ただ、コストの考え方はいろいろある。トラブった1日分を除く4日間なら1日あたり4100円になるし、お店に足を運ぶ時間(と地下鉄代)もかかっている。「ホテル客室内Wi-Fi代を計上するのはアンフェアでは? なら1日3000円でしょ」という人もいるだろう。

 ただ、Overdrive Proならば、客室内でも外出先でも気兼ねなく、複数台のスマートフォンやタブレットで使える。日本から持ち込んだ端末で海外パケット定額を使用するのと比較して、厳密には機能・仕様が異なるが、総合的には「十分おトク」とみなしてよいのではないだろうか。

 これから仕事やプライベートでアメリカ旅行を考える人に、筆者からのアドバイスは「自分の英語力とトラブル対応力を勘案し、自信がないなら国内から通信手段を確保しよう。“ネット断ち”はやめて、素直にGoogle マップなどを頼ろう」――これに尽きる。海外用Wi-Fiルータを日本国内でレンタルするのもいいだろう。今や短期間だからといって、モバイル通信を一切しないというのは、無理な話。保険だと思って、通信手段は用意すべきだ。

予期せぬ事態にスマホ+通信が活躍

 帰国の途につく5日目は、現地時間で11月1日。ロサンゼルス国際空港へ朝10時着の予定でホテルを出発した。すると、途中で異常なほど長い渋滞に遭遇し、まったくタクシーが動かなくなってしまった。なんだろう? と思っていたら、おりしも空港で銃撃事件が発生。その影響で発着ターミナルが封鎖されてしまったのだった。

 危険な思いは一切しなかったが、車中では状況が分からず、いろいろと不安に。手持ちのスマートフォンとOverdrive Proを使って現地ニュースを調べ、それをタクシーの運転手に見せて、空港まで歩くか否かの判断を仰いだ。

 結局、飛行機の発着スケジュールも大幅に遅れ、結果的に9時間近く空港にいることになった。ここでもOverdrive Proが役立ったことはいうまでもない。


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