営業の進捗、iPadで管理したい――Biz.ID営業部が“脱Excel”に挑戦FileMakerで“脱Excel”(2/3 ページ)

» 2013年12月27日 13時00分 公開
[広田稔,Business Media 誠]

【その1】Excelのデータを取り込んでレイアウトを作成

 まずは、ビジネスメディア誠の営業スタッフが利用しているExcelファイルを、FileMaker Proにドラッグ&ドロップして、「テーブル」と「フィールド」に変換する。

 いきなり専門用語が出てきて驚いたかもしれないが、安心してほしい。テーブルとはExcelでいうところのワークシートのような存在。FileMaker Proは、ひとつのファイルの中にこのテーブル(データベース)をいくつも保持しておける。フィールドは、今回のデータの要素でいえば「日付」や「クライアント」といった各項目に相当する。Excelの作法に置き換えると、セルの1行目に項目名をつけるのと同じように考えればいい。2行目以降に入れる実際のデータは「レコード」と呼ばれる。

 FileMaker Proでは、読み込んだデータを「レイアウト」して見やすいように整えていく。Excelでは、行/列の幅を変えてセルの大きさを変えたり、統合したりして調整するぐらいだが、FileMaker Proなら配置は自由だし、強調して見せたい項目はサクっと大きくできる。

 さらにレイアウトをいくつも作成できるのが便利だ。今回の例でいうと、入力時のレイアウトには「AG/Rep」や「備考」が必要なので表示させたいが、月ごとの予算と売り上げをチェックする閲覧時のレイアウトでは不要なため隠したい。それを別々に作成して切り替えて使えるようにすることができるのだ。文字や数値自体はデータベースに保持されているが、レイアウトによって非表示にできるというわけだ。

Photo まずはFileMaker Proに取り込むため、1行目に各フィールドがくるようにExcelのデータを加工する
Photo ExcelのファイルをFileMakerで開くように指示して、1行目をフィールド名として取り込む(画像=左)。さらに「ファイル」メニューから「管理」→「データベース」と選んで、「フィールド」タブで「年月」フィールドを足しておく(画像=右)
Photo Excelでおなじみの表形式で開く(画像=左)。黒いツールバーにあるアイコン(囲み部分)を押すことで、レイアウトを調整した状態でデータを一覧できる「リスト」形式や、1レコードのみ表示する入力向きの「フォーム」形式に切り替え可能だ(画像=中央、右)

 レイアウト時には、新機能の「フィールドピッカー」が活躍する。作成したフィールドがパレットに並んでおり、見出しのスタイルを選んでどんどん置いていけるのがすごく便利。設置したフィールドは、インスペクタで整列させたり、大きさをかえたりする。レイアウト関連では、一貫したデザインを作れる新機能の「スタイル」も注目だ。

Photo 右上の検索窓下にある「レイアウトの編集」を押すと、レイアウトの変更画面が開く。今までの仕事のスタイルを崩さないように表で見せながら、ヘッダに計算した値を表示するようにレイアウトを考える(画像=左)。これがフィールドピッカー。画面下の「ドラッグオプション」を開けば、フィールドの並び方やラベル(フィールド名)をつける位置を指定して、まとめて配置できる(画像=右)
Photo 配置を微調整したいときは、フィールドピッカーボタンの少し右にある「i」アイコンを押してインスペクタを開こう(画像=上)。画面左の「ボディー」で縦幅を狭めて、レコードの間(行の間)が空かないようにしたら、「レイアウトの終了」をクリック(画像=中)。このようにしてリスト形式の体裁を整えた(画像=下)

【その2】フィールドのタイプを指定して小計を作ってみよう

 各フィールド(Excelの1行目)は、「タイプ」という属性を変えて、レコード(2行目以降の実データ)の入力を楽にできる。つまり「通貨」や「日付」のようにセルの数値を指定する感じだ。

 数字なら、データベースの「フィールド」を開いて「数字」タイプを指定。フィールド内の数字を合計するときは「集計」タイプを利用する。「計算」タイプでは、いくつかのフィールドの数値を計算するだけでなく、「姓 & “ “ & 名」の計算式で「姓」と「名」のフィールドを合わせた「氏名」フィールドをつくってみたり、「Get ( 日付 )」で今日の日付を自動入力したりと、数字以外も計算できる。

 今回は「決定」「見込」「提案中」「提案予定」「失注」の小計を出した。さらに、ほぼ金額が決まっている「決定」と「見込」を合わせた「確定」、これから成約できるかもしれない「提案中」と「提案予定」を合わせた「未確定」のフィールドも作って、ヘッダに大きく表示して確認しやすくした。

Photo 「ファイル」メニューから「管理」→「データベース」と選んで、「フィールド」タブを開く。「決定」「見込」「提案中」「提案予定」「失注」の5つは、タイプを「数字」に変更。「年月」のフィールドは、本当は「日付」にしたいが、「年/月/日」のスタイルで入力しなければいけなくなる。日までは不要なのでとりあえずは「数字」にして手動で入力することに
Photo 「小計|決定」というフィールドを作り、タイプを「集計」に変えると、画面が開くので、数字を合わせたいフィールドを指定しよう。同種の集計を「見込」「提案中」「提案予定」「失注」のそれぞれで作成
Photo レイアウトの編集画面に切り替え、フィールドピッカーを使って5つの金額のフィールドをヘッダに配置し、長さや位置を調節する
Photo レイアウトの編集を終了すると合計の数値が表示された(画像=左)。右上の検索窓で企業名を入れて絞り込むと、その合計金額も変化する
Photo 小計部分は、何かを入力させる必要がないため、誤入力を防ぐためにインスペクタの「データ」タブ→「動作」→「フィールド入力」にある「ブラウズモード」と「検索モード」をオフにしておく
Photo Excelの「入力規則」→「リスト」で作るような一覧から選ばせるポップアップメニューは、インスペクタの「データ」タブにある「コントロールスタイル」で設定できる。商品区分のフィールドをクリックして、「編集ボックス」を「ポップアップメニュー」に変更(画像=左)。さらに「値一覧」の右側にある鉛筆アイコンをクリックし、現れた画面で「新規」を押して、商品区分のカスタム値を設定する(画像=右)
Photo ついでに担当者の名前のメニューもつくっておく。「OK」を押し、「値一覧」メニューを「商品区分」にすれば、入力時にポップアップメニューから選べる
Photo ここまででできたのは、こんな業務システム。「日付」のフィールドは「2013/11」や「2013/12」のように打っておく

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