伝わるか伝わらないかにかかわりなく、まごころを込めて接していれば、人を喜ばせることができ、仕事もプライベートもうまくいくのです。
本連載は、上田比呂志氏著、アスコム刊『「気がきく人」の習慣』から一部を編集・転載しています。
東京・荒木町で大正時代に創業した料亭「橘家」で生まれ、幼いときからおもてなしのいろはを教わり、成人後は三越やフロリダのディズニーランドで気づかいの極意を学んだ著者による「気づかいのコツ」を紹介します。
気づかいができるようになると
・上司、先輩に可愛がられる
・人間関係がうまくいく
・異性にモテる
・仕事がうまくいく
・お金が貯まる
・人生が変わる
など、さまざまな点でうまくいくようになります。
相手を喜ばせ、自分にとってもうれしい結果が待っているいいことづくめの「気づかいのコツ」を学んで、「気がきく人」の仲間入りしませんか。
少し長くなりますが、「人生はよろこばせごっこ」に関する、やなせさんの文章を引用します。
長い間、人生を生きてきたが、星の命に比べたら、百歳まで生きたって、瞬間に消え去って行くのと変わらない。
人間は、宇宙的にいえば、ごく短い間しか生きはしないのだ。
つかの間の人生なら、なるべく楽しく暮らした方がいい。
それでは、人は何が一番楽しいんだろう。
何が一番うれしいのだろう。
その答えが「よろこばせごっこ」だった。
母親が一生懸命に料理を作るのは「おいしい」とよろこんで食べる家族の顔を見るのがうれしいからだ。
父親が汗をかいて仕事をするのは、家族のよろこびを支えるためだ。
美しく生まれた人は、その美しさで人をよろこばせることができる。
学問が得意な人は学問。
画を描ける人は画を描くことで。
歌える人は歌で。
人は、人がよろこんで笑う声を聞くのが一番うれしい。
だから、人がよろこび、笑い声を立ててくれる漫画を長く描いてきた。
自分が描いた漫画を読んで子どもたちがよろこんでくれる。
そのようすを見て、自分がうれしくなる。
こうして「よろこばせごっこ」ができることが本当に幸せだ。
この文章を読むと、ついつい自問してしまいます。私は何をすれば人を喜ばせることができるのか。そして、思い出すのは祖母の教えです。
私が「人肌のひろちゃん」と呼ばれる少し前のこと。気づかいやおもてなしの心がよく分からなかった私は、祖母に何をどうしたらもてなすということになるのかを聞いてみました。
「おもてなしって何?」
すると、祖母はこんなふうに教えてくれたのです。
「ひろ坊、おまえの好きな人って誰?」
「おばあちゃん」
「ひろ坊、おばあちゃんが来たら何してくれる?」
「おばあちゃん、おはぎが好きだから、おはぎを作ってあげる」
「ほかには何かしてくれる?」
「きれい好きだから、お掃除してあげる」
「ひろ坊、それが、おもてなしっていうんだよ。だからね、目の前にいるお客様を、自分の一番大切な人だと思いなさい。そうしたら、頭で考えなくてもその人にこうしてあげたいと、心で感じることができるから」
このときの教えはそのままおもてなしの核として、私の体にしみついています。自分が大切だと感じる人に対して、「この人は何が好きなんだろう?」「何をしたら喜んでくれるんだろう?」と考え、実際に心と体を動かすこと。そうした結果、相手が喜んでくれたとき、私たちはうれしくなります。
これが、私の思う「よろこばせごっこ」です。
あなたは普段、何をして「よろこばせごっこ」をしていますか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.