「freee」「MFクラウド」そして「やよい」、どのクラウド会計ソフトで確定申告したらいいのか?確定申告2015(1/2 ページ)

freeeやマネーフォワードが切り開いたクラウド会計サービスという分野。いよいよ圧倒的なシェアを持つ弥生が参入してきた。ところが、思いもよらぬ落とし穴が。果たして2015年の確定申告はどうすべきか?

» 2014年10月21日 13時00分 公開
[宮田健Business Media 誠]

 フリーランスにとっても避けては通れない「会計業務」の煩わしさ。2014年10月16日に発表された「やよいの青色申告オンライン」は、まさにその煩雑さを軽減してくれるに違いないものと期待していた。

 サービス自体は「かんたん、やさしい」をキーワードに内容も機能も申し分ない。これまで会計業務をおろそかにしていた人や、これから新たにフリーランスとしてやっていこうという人にとっては、いよいよ環境が整ったといえるだろう。

 だが、すでにパッケージソフトを使って確定申告をしていた人たちにとっては、少し残念なお知らせもあった。というのも、「やよいの青色申告オンライン」が新規ユーザーの開拓を主眼に置いたからだ。

 「やよいの青色申告オンライン」のFAQには以下のように書かれている。「パッケージ版の『やよいの青色申告(弥生会計)』のデータは本製品ではご利用いただけません」

FAQ 「よくある質問」によれば、やよいのパッケージソフトとクラウド会計サービスの間でデータ連携はできない

 2015年3月に行う確定申告は、2014年1月1日から12月31日までの記帳に基づくものだ。すでに10カ月も経った段階で、記帳データが変換できないとは……。既存のパッケージソフトユーザーがクラウドサービスに移行するためのパスが用意されていないのは、大変にもったいないと思う。サービス内容のアップデートに期待したい。

(追記:弥生は2015年1月のアップデートで、パッケージ版の「やよいの青色申告」「弥生会計」の仕訳データを「やよいの青色申告オンライン」に移行できるようにすると発表した。なお、データの相互連携はできない)

クラウド会計ソフトで会計業務が身近になる

 あらためてクラウド会計ソフトをおさらいしておこう。個人事業主や小規模事業者向けのクラウド会計ソフトといえば、まず「クラウド会計ソフト freee(フリー)」が先行し、「MFクラウド確定申告(マネーフォワード)」が続いた。そこに、その分野でもっともシェアを持っている弥生が約1年遅れで参入してきたのだ。

 筆者自身、確定申告には弥生のパッケージソフトを使っていたが、レビュー記事を書くために「freee」や「MFクラウド確定申告」も試用している。そこで感じたのは、クラウド会計ソフトによって会計業務が身近になったということだ。

 パッケージ型の会計ソフトの場合、ほとんどの対応OSはWindowsのみ。筆者のようなMacユーザーの場合、会計ソフトを使うにはMacの中に仮想的にインストールしたWindowsを起動しなくてはならず、正直なところ会計ソフトを起動することすらおっくうになり領収書や入金処理を数カ月間放置することが多かった。おそらく、確定申告のシーズンになって慌てて1年分を記帳する人も多いことだろう。

freee 積極的にスマホ活用を推進するfreee。自動的に取り込んだデータをスワイプでどんどん登録していく

 一方、クラウド会計ソフトではMacはおろか、スマホ(iOS/Android)からも入力、表示が可能であり、ちょっとした空き時間に会計業務を終わらせられる。これが筆者にとっては魅力だった(そもそも記帳はその都度やるべき業務なのだが)。こまめな記帳によって売上や売掛の状況が見え、「今月はけっこう頑張った」「あれ、原稿料がちゃんと振り込まれていない」などの分析ができるようになったのだ。

 また、クラウド側にデータがあることで、さまざまな「プッシュ」通知が来ることも大きい。例えば、クラウド会計サービスでは週次でメールが届き、活動を可視化できるのもおもしろい。

 やはり、売上データを身近に感じるためには、当たり前であるが取引の発生時点で会計ソフトに計上する必要がある。いままでそれを頭では理解していたものの、実際にクラウド会計サービスを利用するまではなかなか実感できなかった部分だった。

さて、既存のパッケージソフトユーザーはどうすべき?

 フリーランスとなり、会計ソフトを2年ほど運用して分かったのは、非常に「ロックイン」(メーカーによる囲い込み)要素が強いということだ。会計業務はあくまでバックオフィス業務なので、「今使っているものに不満がない」「手を掛けてまで移行はしたくない」という場合は、現状を変えないというのが一番の選択肢だ。

 しかし、パッケージではなく「クラウド会計ソフトを使いたい」という個人事業主はどれを選ぶべきだろうか。あくまで私見であるが、それぞれを少しだけ使った経験から考えてみた。

サービス名 freee MFクラウド確定申告 やよいの青色申告オンライン やよいの青色申告15(パッケージ)
価格(年額) 9800円/年 8800円/年 8640円/年(セルフプラン)、1万2960円(ベーシックプラン) 1万1880円(直販価格)
Mac対応 ×
モバイルアプリ × ×
サポート メール・チャット メール・フリーダイアル メール、フリーダイアル、画面共有、業務相談(ベーシックプラン以上) メール、フリーダイアル、画面共有、業務相談(年額9720円〜の「あんしん保守サポート」の場合)
取り込み CSV(弥生会計、代行依頼可能) CSV(弥生会計、会計王、勘定奉行、やるぞ!青色申告、freee、JDL、PCA) やよいの白色申告のみ CSV
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