疲れる姿勢を“イスが”直す? オフィスチェアの進化が止まらないさらば腰痛、肩コリ(2/3 ページ)

» 2014年11月21日 06時00分 公開
[太田百合子Business Media 誠]
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背骨は立っているときと同じが理想

 体圧の分散の次に重要なのが、腰周りのサポートだ。

 立っているときと同じ自然なS字型の背骨をキープするためには、腰をしっかり支える必要がある。「人間の背骨がS字型なのは、積木のようにまっすぐ骨を積み上げたところに重い頭を載せると腰に大きな負担がかかるため、S字型の背骨がバネのような役割をして負担を軽減しているんです。だから腰痛や肩こりにならないためには、このS字をキープすることが重要なんです」(斉藤氏)。

 この背骨のS字の形状は、身長や体重、足の長さなどと同様に、「個人差がある」のが面白いところだ。

Photo 同じ体格でも姿勢には個人差があり、それに応じて背骨の形状が異なる

 以前、コクヨ社員の背骨の形を徹底的にリサーチしたところ、大きく分けて極S字、S字、I型の3つのタイプがあることが分かった。このタイプの違いや座高の高さなどによって、腰を支えるランバーサポート(疲労軽減のために背もたれの腰の部分に設置された支え)の最適な位置や、テンションの張り具合などがまったく違ってくるという。

 なお、“今座っている椅子で正しい姿勢ができているかどうか”は、立ってるときと座っているときの姿をそれぞれ、横から写真に撮ってもらうとよく分かる。両方の背中のカーブが同じなら、正しい座り方ができているが、そうでなければクッションなどを使って、立っているときの背中のカーブに近づける必要があるだろう。写真を撮ると、自分の背中のカーブがどのタイプなのかもチェックできるので、試してみるといい。

Photo コクヨ社員へのリサーチをもとに作成された3つの背中の模型を使って、体型差を解説する斉藤氏。カーブの強さや曲がっている位置などが大きく違うため、それぞれにあわせた腰回りのサポートが必要だという

コクヨが考えるフレキシブルチェア

 姿勢は体型の個人差だけでなく、働き方によっても変化する。紙の書類を書くような仕事では身体は前のめりになるが、PCの入力作業では、逆に背もたれにもたれかかっている場合が多く、骨盤が寝た状態になりやすい。デスクトップPCとノートPCでも目線の高さが異なるうえ、タブレットやスマートフォンを使うときもまた姿勢は変わってくる。

 「体型の個人差はもちろん、多様な働き方に合わせていかにフレキシブルに腰をサポートできるか――ということも、今の時代のオフィスチェアに求められる条件になってきている」と斉藤氏はいう。

 コクヨでは体型や働き方に応じた“腰のサポート”を目指しており、さまざまなランバーサポート機能を研究・開発している。その最新型の1つが現在、同社のフラッグシップモデル「INSPINE」(インスパイン)に搭載されている「ワイヤーランバーサポート」だ。

 背もたれに通されたワイヤーを、1ミリ単位で締めたり緩めたりすることで、背面から腰を支えるテンションの張りを細かく調節できるのがポイントだ。さらにワイヤーがくつひものように1本でつながっているため、前傾姿勢のときは腰の高い位置に、背面にもたれかかったときには腰の低い位置に――というように、姿勢に応じて最もテンションの高い位置がフレキシブルに変化する。自分の姿勢にランバーサポートがぴったり寄り添ってくるような感覚だ。

Photo 前傾から後傾までさまざまな姿勢に対応できるフレキシブルチェア「INSPINE」は、現在のフラッグシップモデル。メーカー小売価格も13万3000円〜というフラッグシップにふさわしい価格設定だ
ダイヤルを回してワイヤーを締めることで、ランバーサポートのテンションをミリ単位で調節できる。ワイヤーは1本でつながっているため、上が引っ張られれば下が緩む

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