そもそもなぜ移行しなければならないか。
Windows Server 2003のサポート終了は、Windows XP(2014年4月サポート終了)のそれと似ている。マイクロソフトは、製品の「サポートライフサイクルポリシー」に沿ってサポート期間を定め、発売から最低5年間のメインストリームサポート期間、同じく最低5年間の延長サポート期間を加えた、最低10年間のサポートを提供する。法人需要が多かったWindows Server 2003はメインストリームサポート期間を2年2カ月延長し、計12年2カ月のサポート期間を設けた。2014年1月より「サーバー乗り換え支援強化期間」とし、移行計画のための相談、移行作業や移行コストの負荷低減などの客の課題に合わせ、適切な販売パートナーを紹介するなど、円滑な移行を促す活動も行っている。
ただ、影響範囲が大きく、社会現象にまでなったクライアントOSであるXPとは事情が異なる。法人向けサーバOSのため「一般層へ認知されにくい」のが大きい。オンプレミス環境で社内サーバを管理するIT担当者ならほとんどが終了を認知しているものの、中堅中小企業で他業務と兼務する担当者もいれば、なによりその重要性を経営層が理解していない例が多い。ここが移行の妨げとなる大きな要因だ。
「サイバーセキュリティは、CEOレベルの問題と認識すべき。多くの企業において、サーバが無防備な状態で稼働している現状も問題。昨今、攻撃の対象は金銭と機密情報に特化しているが、大企業だけが狙われるわけではない。ウチは小さいから大丈夫、そんなことはない。セキュリティ対策が甘い中小企業を踏み台にして大企業へ攻撃を仕掛ける例が増えており、中小企業の5社に1社はサイバー犯罪の標的にされているという調査結果もある」
「まだ使えるのにという企業には、建物に例えて考えてほしい。外壁や設備が老朽化すれば対策をする。まだ住めるかもしれない。でも、そもそも安全か、倒壊したらどうか、カギが壊れていたらどうか、水道管が破裂したらどうか。自分はおろか、被害が他者に及べば当然信用も失うことになる」(日本マイクロソフトの高橋氏)
「サイバー犯罪は、単に感染を広げるだけの愉快犯から、明確に金銭と機密情報を狙い、犯罪者集団や国家的な組織が関与する時代なのはもうご存じと思う。被害額は、数年前の数億円規模から、2013年は14億円、2014年は9月時点ですでに18億円。昨年同期比で9倍に増えている。サポートが終了する製品を使い続けることは企業の存続に関わると知ってほしい。システムダウン→業務停止の恐れ、機密情報の漏えいや不正持ち出し、さらには他への攻撃の踏み台にされるリスクも多大だ。国でも、サーバの買い換えなどに利用できる税制・融資制度を用意している。国の制度もうまく使ってほしい」(総務省の上村氏)
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