スピーチは「自己演出」――内容、表現方法をマネジメントする表現のプロが教えるスピーチの兵法(2/2 ページ)

» 2015年03月27日 06時00分 公開
[企業実務]
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上達するまでの4ステップ

 NLPと呼ばれる心理学をもとにした神経言語プログラミング理論では、何かを上達するまでの「学習段階説」として、次の4つの段階を踏むといわれています(理論上は5段階ですが、ここではスピーチに関係あると思われる4段階を紹介します)。

  • 第1段階: 無意識・無能

 知らないからできないという状態です。スピーチでいうと、当連載を残念ながら読み飛ばしている人がここです。

  • 第2段階: 意識・無能

 知っているができないという段階です。当連載では毎回実践の宿題を出しましたが、読んだだけで試さなかった人はこの段階です。

  • 第3段階: 意識・有能

 考えるとできるという段階です。多くの読者は、ここまでは上達していることでしょう。

  • 第4段階: 無意識・有能

 考えなくてもできるという状態。最終目標のレベルです。

 自分の形をつくり24時間マネジメントしていれば、必ずスピーチは「無意識・有能」に到達します。どうか、あきらめずに続けてください。

重圧をはねのける

 「人前に出るのが、ずいぶん楽になりました」

 これはスピーチトレーニングを受けた人たちが、口をそろえて言う感想です。これを聞くと喜ばしく思うとともに、ビジネスパーソンにとって会社を代表して人前で話すことがどれほど苦になっているかを痛感します。その苦しむ姿は、テレビでニュースを読んでいた私自身の姿と重なります。

 大学卒業後、NHKで番組を担当するようになったとき、周囲の職員たちの輝かしい学歴、頭の回転の速さ、知識の深さに、劣等感を通り越して恐怖を感じました。

 アナウンサーの仕事は、記者、カメラマンなど大勢のスタッフの手によって制作されたニュースを、画面を通して視聴者に伝えること。つまり、リレーのアンカーのようなものであり、「最終の表現者」なのです。

 私がニュースを読んでいるときは私がNHKを代表していることになり、私のミスはNHKのミスになります。それだけに、緊張感やプレッシャーは非常に大きなものがありました。

 そんな重圧を感じながらも、視聴者の信頼を得るために日々私が実践している方法を紹介すれば、同じような立場のビジネスパーソンの役に立つのではないか――、そんな思いでこの連載を続けてきました。当連載を読むことで、人前で話すことが多少でも楽に感じるようになってもらえたら幸甚に思います。

今回のポイント

「飾らず実直に、分かりやすく演出すること」「同じテーマで繰り返しスピーチし、自分の形をつくる」「意識しなくてもできる状態を目指す」を心がける。


著者プロフィール:矢野香

キャスター歴17年。主にニュース報道番組を担当。大学院では心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究。現在は、政治家・経営者・管理職を中心に「信頼を勝ち取るスキル」を指導。著書に『その話し方では軽すぎます! 〜エグゼクティブが鍛えている「人前で話す技法」』がある。著者オフィシャルサイト


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