企業向け「Windows 7」で変わる――働き方の3つのポイント
「仕事は会社でするもの」「出社時間は朝の定刻」――そんな働き方の常識が、ここ数年で変わりつつある。企業向けに提供する「Windows 7 Enterprise」では、多様化するワークスタイルをサポートするという新機能を多く搭載した。
「とりあえず朝9時までに出社して、仕事は会社だけでする。そんなこれまでのワークスタイルが、近年大きく変わり始めている」(マイクロソフト コマーシャルWindows本部ビジネスマーケティング部の東條英俊マネージャー)
先日RC版が公開され、正式版の年内リリースも発表されたマイクロソフトの次期OS・Windows 7。中でも、企業向けに提供する「Enterprise」エディションでは、「現代の多様なワークスタイルをサポートする」(東條氏)新機能を多く盛り込んだという。
東條氏によれば、Enterpriseエディションを使うメリットは、大きく分けて以下の3つのポイントに分類できる。
- 場所を問わず生産性を維持
- セキュリティと制御の強化
- PC管理の合理化
場所を問わず生産性を維持
「自宅でも外出先でも、社内のリソースに簡単にアクセスしたい」――こんなニーズに対して提供するのが「DirectAccess」機能だ。接続設定を自動化し、VPNを使用することなくセキュアに企業ネットワークに接続できる。通信は暗号化で保護されたIPSec/IPv6を使ってDirectAccessサーバに接続し、そこから企業内のサーバにアクセスする仕組みで、IPv6未対応のネットワークや、ファイアウォール/プロキシサーバがある場合でも利用できる。
ネットワーク帯域幅に制約のあるブランチオフィス(支社/出張所)で働くユーザー向けの機能が「BranchCache」。本社などから送られてきたデータを、ブランチオフィス内のクライアントPCやサーバにキャッシュする。最初の1人がデータを受け取れば、ブランチオフィス内の2人目以降は、社内ネットワーク経由でキャッシュから高速でデータを受信できるというわけだ。
セキュリティと制御の強化
「BitLocker To Go」は、USBメモリなどのリムーバブルディスクをエクスプローラから暗号化できる機能。暗号解除にはパスワードかICカードを使用し、Windows VistaやXPでも復号できる。システム管理者は企業のセキュリティポリシーに基づいて、指定したユーザーのリムーバブルディスクを読み取り専用モードにするといった設定が可能だ。
「AppLocker」は、アプリケーションのインストールや実行を制御し、マルウェアの侵入や不正ソフトのインストールを防止できる。利用を制御できるアプリケーションは、アプリ発行者のデジタル署名やバージョンによって細かくルール設定できる仕組みになっている。
PC管理の合理化
個々のクライアントPCのデスクトップをサーバ上に統合するVDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップインフラストラクチャ)も強化した。マルチモニターをサポートし、Aero Glassのサポートなどグラフィック性能を向上。また、VHD(仮想ハードディスク)を起動ディスクに利用できるようになった。
Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP)によるアプリケーションの仮想化にも対応し、実際にクライアントPCにインストールすることなく、アプリケーションの配布と管理が可能になった。
「Enterpriseエディションでは、紹介したすべての機能を“標準搭載”している。例えば営業マンが自宅からVPNなしでコーポレートネットワークにアクセスし、BitLocker To Goで安全にUSBメモリのデータを持ち運ぶ。管理者の立場からすると、運用管理コスト、セキュリティ管理コスト、メンテナンスコストのすべてを削減できる」(東條氏)
マイクロソフトの調査によると、DirectAccessやBranchCacheによって生産性が向上するとそれまでの3割のコストを削減でき、他社の管理ソフトを導入する代わりにBitLocker To GoやAppLockerを使うことで、6〜7割のコスト削減に成功するというデータもあるという。
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