『「甘え」の構造』――他人と関係する前に知るべきこと:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
「甘え」が日本固有のロジックであるとし、国内外で話題になったのが『「甘え」の構造』。なぜ甘えが生じるのか――。
「甘え」が日本固有のロジックであるとし、日本やフランスで話題になったのが『「甘え」の構造』。著者の土居健郎氏は精神科医である。
なぜ「甘え」が生じるのか
自分以外の人間を身内と他人に分ける、独特な日本人の視点から「甘え」も理解できる。
論理や契約がなくとも身内なだけで頼んでしまうのが甘え(1)である。甘えられない場合は、照れたり恨みをもってしまう(2)。他人に対しては「甘え」ない。目上の他人には遠慮をし、目下の他人へはなめた態度をとる(3)。他人を無視できない時は身内へと同一化をすすめる(4)。問題が発生した際に、日本人は身内に対して「恥」の意識を感じる(5)のに対して、西洋人はあくまでも自分に対して「罪」の意識を感じるという。
身内と他人は分けるべきか、分けざるべきか
日本のビジネスでは、身内と他人の区別を何よりも理解すべきだろう。上司や顧客に対しては、論理や事実で攻める前に身内になる努力が必要となる。そのためには「頼まれごと」や「飲み」が重要な機会になる。
一方で、欧米には内と外の区別はない。同僚でも甘えるべきではないし、他人でも遠慮すべきではない。身内と他人を使い分けたり使い分けない、対極のスタンスを持つことが現実的に求められている。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。
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