職場でのミスを未然に防ぐ――ハインリッヒの法則ってなんだ?:研修に行ってこい!(2/2 ページ)
うっかり手順を間違えたり、ぼんやり作業をしていて危うく大きなミスにつながったり……。これらを防ぐためにはどうしたらいいでしょうか。今回は職場での「安全教育」について考えていきたいと思います。
“ひやっ”としたことを共有する職場習慣を
「ヒヤリ・ハット」という言葉をご存知でしょうか? ヒヤリ・ハットとは、「重大な災害や事故には至らなかったものの、直結してもおかしくない、一歩手前の事例=ヒヤリとした、ハッとした事例のこと」です(参考:Wikipedia)。
このヒヤリ・ハットと関連する重要な法則があります。1件の重大な事故、災害の裏には、29件の軽微な事故、災害があり、さらに300件のヒヤリ・ハットがあるとされる「ハインリッヒの法則」です。
ハインリッヒの法則
米国の損害保険会社に勤務していたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏の論文による。災害が発生するメカニズムには、「1:29:300」の割合が存在するとし、さらに数千件の「不安全行動」と「不安全状態」が存在していることを示した。事故・災害を防ぐには、次の取り組みが有効であることを説いた。
- 災害を防げば、傷害はなくせる
- 不安全行動と、不安全状態をなくぜば、災害も傷害もなくせる(職場の環境面の安全点検、整備、特に、労働者の適正な採用、研修、監督、それらの経営者の責任をも言及すること)
参考:Wikipedia
そこで、少し意識すれば大ごとにならずにすむようなことを、日常的なミーティングで伝えるようにしましょう。ミーティングの機会は、毎週、隔週、月1回など、必要性に応じてタイミングを作っておきます。
担当を決めて、担当に報告することで情報を共有したり、担当を決めずに、発表者を決めて次のミーティングで数分話をするのもいいかもしれません。その際の発表のポイントは、次の項目がオススメです。
- これは危ないなと思った出来事
- なぜ危ないと思ったか(理由)
- 最悪の場合に考えられる影響
- このようなことが起こってしまう背景で考えられること
- このようなことが起こらないようにする工夫(手順や動作など、行動できることでの提案)
最初のうちは、なかなかテーマが出しにくいかもしれません。その場合は、次のようなカテゴリからテーマを選ぶのも一策です。
- 会社の中での出来事
- 仕事中の出来事
- 他部門での出来事、
- 電車の中での出来事
- 飲食店での出来事
- 買い物をしていたときの出来事
- 友達から聞いた話
- お客様から聞いた話
- 同業者から聞いた話
- 新聞や雑誌の記事を見て気づいたこと
- テレビ番組を見ていて気づいたこと
身体的、精神的な問題につながりそうなもの、情報漏えいなど会社の信用に影響があるもの、納期に影響を与えるようなことなど、テーマは無尽蔵にあると思います。
経済団体連合会(経団連)では10月を「コンプライアンス(企業倫理)月間」とし、「従業員の安全確保・衛生管理」の強化も組織として取り組むテーマの1つとして求めています。
取り組み強化月間が過ぎてしまっても、事故を未然に防ぐことで、働く仲間やその家族を守り、会社の信用も築くことができる、ちょっとした取り組み、進めてみてくださいね。
著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)
大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。
社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=お客様の期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。
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