コワーキングスペース「LEAGUE」は“新しい価値”を生み出せるか:オランダに学べ(2/2 ページ)
UDSがS2Mと提携して2月に銀座でオープンしたコワーキングスペース「LEAGUE」。S2Mのロナルド・ヴァン・デン・ホフCEOと、提携のきっかけとなった書籍の著者らを招いたトークイベントで、働き方の変化や日本がどのように成長できるかを議論した。
インターネット3.0時代の働き方
S2Mのロナルド・ヴァン・デン・ホフCEOによると、インターネット1.0時代は情報の流れが一方通行だったが、ブログなどで、インターネットは2.0の時代に。現在はSNSでの活動が活発になり、誰もが平等なつながりを持てるようになった。その中で誰か1人だけが利益を得るわけではなく、ナレッジを共有することにより、フラットなバリューネットワークを築いている。「それがインターネット3.0時代だ」(ホフ氏)。
「ナレッジを共有するフラットなバリューネットワーク」の中では、知識を提供できない人は排除されてしまうというのがホフ氏の考え。欧州でも、会社組織に属し、会社が提供した設備で働くのではなく、自分たちの設備を使って価値を創出するという働き方が定着しつつあるという。「近いうちに40〜45%の人がそのような働き方、すなわちコワーキングスタイルに移行するのではないか」
こうした知識(ナレッジ)の共有は実際の場だけではなく、SNSといった仮想空間でももちろん可能だ。むしろ、物理的には知り得なかった人同士がSNSを通して知り合い、新しい違う分野のナレッジを共有し、新しいものを生み出すケースも出てきた。
このような結び付きには金銭のやりとりが発生するわけではないが、根底にあるのは「信頼」であるとホフ氏は言う。インターネットでの結び付きは、信用があってはじめてナレッジの共有ができ、それにより新しい価値を生み出すことができるというわけだ。
人は、価値があると思うから対価を支払う。すき間産業と呼ばれるようなニッチな商売が可能なのは、その価値に注目し、対価を支払う人がいるからだ。こうして対価を支払ってでも得たいと思わせる「価値」こそが経済を発展させていく原動力になるのは間違いない。
ホフ氏の言う「インターネット3.0時代」にふさわしい価値を生み出すワークスタイルがLEAGUEで実践できるかどうか――。これからも注目だ。
関連記事
- 渋谷ヒカリエに誕生した「MOV」の現状とこれから
この6月に「TEDxTokyo」が開かれた渋谷ヒカリエ。このTEDxTokyo運営事務局が利用していたのがコクヨのコワーキングスペース「MOV」だ。ヒカリエと同時にオープンしたMOVの現状とこれからをコクヨに聞いた。 - ノマドワーキングのさらに先へ――新生ビットバレー流は“Coworking”
「ノマドワーキング」が最近話題だが、移動先で個別に仕事する人ばかりではない。移動しながらチームで作業するような働き方もあるのではないか。そんなCoworkingができるJELLY JELLY CAFEに注目した。 - 単なる“場所貸し”ではない新しいセカンドオフィス――他者(社)と一緒に働くこと
社外にもう1つの職場を――。東日本大震災以降、自社以外で働けるセカンドオフィスに注目が集まっているが、単なる“場所貸し”ではない新しいセカンドオフィスが登場している。 - メールで連絡が取れない人たちとおつきあいするための便利なツール
メールを出しても返事がない。でも忙しそうではなさそう――。あなたの身の回りにもこの手のタイプの人がいないだろうか? そんな人に、なんとか連絡を付ける方法を考えてみる。 - 会社でも使いたい! Dropboxライクなオンラインストレージ
Dropboxを社内外の人と共同して作業するようなコワーキングに利用するシーンも多い。だが、中にはDropboxに懸念を持っている企業も多いという。そんな中、法人向けのDropboxライクなサービスがいくつか出てきた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.