京大式カードの思想を名刺管理にも――まつもとあつしさんに聞く:あの人の名刺管理
フリーランスで執筆活動を主にしているまつもとあつしさんはどんな名刺管理をしているのか? スキャナやWebサービスを組み合わせた効率のよい手法を教えてもらった。
あの職業、働きカをしている人はどんな名刺管理をしているのか。今回は誠 Biz.IDでも記事を書いているフリーランスのまつもとあつしさんに聞いた。
まつもとあつしさんは、電子書籍やソーシャルゲーム、最近ではLINE関連のテーマを追うフリーのジャーナリスト。インタビュー形式の取材を主に活動している。名刺交換の頻度は平均して1日に数枚だが、イベント取材や講演などを行った際には数十枚になることも。そのほか在籍している大学院で知り合った人の名刺なども一緒に管理している。
名刺管理にルールはないが、まつもとさんの方法をあえてルール化するとすれば「無理に整理しようとしない」「なるべく名刺交換をしたその日のうちにスキャンをする」だ。故・梅棹忠夫氏が考案した“京大式カード”の手法にのっとって、「誰といつ合ったかの情報(名刺)を全て同じフォーマットでどんどん記録していく」のだという。
「ScanSnap S1100」と付属ソフト、Dropboxを使う
具体的には、PFUの小型ドキュメントスキャナ「ScanSnap S1100」でスキャンし、PCで付属ソフト「名刺ファイリングOCR」を使って確認。それをDropboxにバックアップしている。
利用シーンとしてはこうだ。まず、名刺交換をしたその日中にScanSnap S1100でデータ化する。記事を執筆中に画像データをPCに入れる作業の傍ら、配付資料や名刺情報も取り込むといった具合だ。まつもとさんがあとから名刺情報を参照するのは、取材時に会った人の氏名を確認したいとき。よって読み込み時には企業名や役職などでフォルダ分けせずに、時系列で保存していく。
「時間があるときにはフォルダ分けする場合もあるが、基本的には“タグ付け”のようなことはしない。これは私の『はてなブックマーク』や『Evernote』の使い方と一緒で、タグは付けない。タグは自分のそのときの気分や状況で変わってしまうので。あとから全文検索できればいいと割り切っています」(まつもとさん)
やはりデジタル管理が便利
この方法を始めたのは、約3年前。以前は紙のままの状態で、ファイリングするなどの方法で管理していたが、なかなか続かなかったという。試行錯誤の上辿り着いた現在の方法で満足していて「ぜひどんどん電子化すべき」と周囲にも名刺のデジタル管理を勧めている。ノートPCとネット接続環境があれば出先でもすぐに名刺情報を参照でき、かつローカルだけでなくクラウド上にもデータを置いているのでバックアップの観点でも安心だ。
S1100の付属ソフト「名刺ファイリングOCR」のユーザーインタフェースにも満足しており、機能面でもアップデートがしっかりされる点(Evernote連携など)がよいという。まつもとさんの場合は原稿を書きながら名刺情報を確認するケースが多いので、スマートフォンではなくPCで一覧性がある状態で見られることが重要となる。OCRの精度も良好で、あとからPCの画面上で打ち直すといった作業はほとんどない。テキストと画像データを見れば一目で分かるし、もしも必要であればそのときに追記・修正をすればよいというわけだ。
なお名刺ファイリングOCRについて欲を言えば、法人利用を想定して設計されている顧客管理システム「Salesforce」との連係に加え、Googleのアドレス帳と連係するといったフリーランスの人向けの機能があるとより便利だと話していた。
名刺管理は絶対にするべき
この記事を読んでいる人の中には、そもそも名刺管理をしていない人もいるかもしれない。会社員からフリーランスになったまつもとさんは、「名刺管理は絶対にするべき」としている。
それは、会社員時代は年末にまとめて名刺を整理しようとして名刺管理にかなりの時間を取られていた経験からだという。今の時代であれば気軽に使えるスキャナもあり、その日すぐにスキャンしておくだけでいつか役に立つシーンがくる。まつもとさんのように無理に整理しようとせず、手間を掛けずにあとから探して活用できる仕組みを作っておいてはいかがだろう。
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