ネットショップでまず伝えるべきは、安心・安全:「売らない」から売れる!
ECサイトを運営する人であれば自分たちのサイトが「安全で、安心」ということを伝えなければなりません。安全かつ安心な場だと信用してもらえてこそ、少しくらい値段が高かったとしても「またここで買いたい」と思ってもらえるのです。
連載『「売らない」から売れる!』について
小さな会社でも「新規性」「話題性」「社会性」の3つがあれば、ブランドを作れる!
著者は自ら動き、学び、実践した結果、ブランド構築に必要なものは、「新規性」「話題性」「社会性」の3つという答えにたどり着きました。本書ではその真意とともに、独自の「マーケティング哲学」、すなわち、
- 「インターネットはモノを売る場ではない」というセミナー講師の言葉から学んだエッセンス
- 「私に似合うタオルって何ですか?」という1通のメールで悟った商売の本質
- タオルを生産している工場に行って初めて分かった「三方よし」という考えの大切さ
- ネット通販で「肌ざわり」まで伝える方法や、お客様が感動する梱包のやり方など具体的なノウハウ
などなど、どの商売にも通じる「売ろうとしなくとも、売れる」法則を公開しています。
この記事は2013年11月14日に発売された日本実業出版社の『「売らない」から売れる! どこにでも売っている商品を「ここにしかない」に変える5つの法則』(寺田元著、単行本)から抜粋、再編集したものです。
現在、「タオルはまかせたろ.com」には、多くのリピーターがいます。お客さんからお礼の手紙をもらうこともあります。リピーターだけでなく、初めて購入した人からもです。
お客さんからこのような声をもらえるのは、私たちがインターネットを血の通った、人と人との交流の場だととらえているからだと思っています。お客さんにクリックしてもらって「買わせる場」ではない、と考えているのです。
インターネットでの取引の安全性をお客さんに疑われてしまうと、私たちのようなビジネスは成立しません。恥ずかしながら、サイトを立ち上げたころはインターネットで商品を売れば、自動販売機のように勝手に売れていくようなものだと思っていました。
何度も触れた通り、最初はSEOを始めインターネットで集客するためのさまざまなテクニックを取り入れようと必死でした。自分にまったく知識がないために、そういうことに目を奪われ、小手先のテクニックにとらわれていました。世に出ているネットビジネスに関する本の多くもそうした内容ばかりが書いてありました。
その誤りに気づかかせてくれたのは、「Eビジネス道場」の講師でした。とくに講師の1人であるITコンサルタントの村上肇さんは、「SEOなんか意味がない」「自らがきちんと情報発信をしてナンボだ」とおっしゃったのです。
その言葉は、とてもインパクトがありました。しかし、「そうは言ってもやっぱりお客さんに検索してもらわなければ、商品は買ってもらえないのでは?」という考えも、そのときの自分の中にはまだありました。
けれども、実際にインターネットを介してお客さんの生の声を聞くうちに、向こう側にも、ちゃんと体温をもった人間がいるということがわかったのです。お客さんの生の声を聞くうちに、「テクニック的に集客をしていく方向があるとしても、そこを目指すべきではない」と思うようになっていきました。
その考えがベースとなり、生産者の思いや、タオルができ上がるまでのプロセスなど、コンテンツを増やして発信していくことになり、徐々にではありますが、お客さんから安心・安全と思ってもらえる場になったのだと思います。
今の私には、「自らのすべての行動は、タオル業界の繁栄を願ってのもの」という、決してブレることのない軸があります。だから、自分の店だけでなく、「タオルをどこで買っていただいてもいい」というのも正直な気持ちです。さらに言えば、「ほかのサイトのタオル屋さんも親身なんだよ。安全ですよ」という気持ちでいます。
そのような意味でも、まずは自分たちのサイトが「安全で、安心」ということを伝えなければならないと考えています。安全かつ安心な場だと信用していただいているからこそ、少しくらい値段が高かったとしても「またここで買いたい」と言ってくれるわけです。
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