「褒めて育てる」ことの欠陥:ボクの不安が「働く力」に変わるとき(3/3 ページ)
同僚や部下など、周りの人を前向きに導くために「褒めて育てる」はとても大切です。しかし、1つ大きな欠陥があるのです。それは……?
「今すぐできること」が新しい行動を生む
意識を前向きにリードできたら、あとは行動です。
しかし、目の前にある壁が大きいときほど、解決策が見えないときほど、目標が大きすぎるほど、何から手を付けたらいいか分からないものです。目標から逆算してToDoリストを作るのもいいかもしれませんが、ハードルが大きいほど、ステップが多すぎるほど、なかなか行動には結び付きません。
そこで、「今すぐできることは何か」を問いかけてみます。「その問題を解決するために、どんなささいなことでもいいんだけれど、今すぐできそうなことはない?」のようにです。
行動しなければ何も変化が起きませんが、例えどんな小さな行動だとしても、行動に移すことで実際の変化が起き始めます。変化は次の行動につなげてくれます。
このようにすることで、落ち込んでいる同僚を前向きにリードできるのです。
本連載では、同僚を前向きに導くコミュニケーションスキルについて数回に分けてお話してきました。
スキルとは「やり方」のことです。コミュニケーションの場合だと、「合わせ方」「聞き方」「問いかけ方」「リードの仕方」のこと。
連載の途中で、ソーシャルメディア上では「コミュニケーションをスキルとしてとらえている時点でダメだ」という意見もありました。これはご指摘の通りで、どんなに「やり方」を工夫しても、そこに心がこもっていなければ相手を傷つけてしまうこともあります。しかし、どんなに高い志を持っていたとしても、「お前のそこがダメなんだ。もっと前向きにとらえなきゃダメだ」と批判されて、前向きにとらえられる人が少ないのも事実です。「ツール(やり方)」と「あり方」の両方が伴って、有効に働くのです。
つまり、コミュニケーションの効果は
「コミュニケーションの効果」=「やり方」×「あり方」
であるといえます。
今回をもって小連載は終わり、次回からは通常の連載に戻ります。これまでのお話が同僚を前向きにリードしながら、働きやすい職場作りのための一助になれば幸いです。
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