なぜ、日本人の仕事が世界で認められているのか:一流の働き方(2/2 ページ)
長かった不況で「モノづくりニッポン衰退」の声もあったが、世界のトップに君臨する「一流の職人気質」は消滅してはいない。海外へ行くと、そのことを痛感するだろう。
「モノづくり精神」はなくならない
このホイッスル以外にも、日本の工場の職人たちが、世界のトップレベルのモノを製造している例は少なくない。
アトランタ、シドニー、アテネオリンピックでメダル独占の砲丸を手掛けている「辻谷工業」。室伏広治選手をはじめ上位選手が使用するハンマーを製造する「ニシ・スポーツ」。卓球のピンポン玉の「日本卓球」。テニスやバトミントンのガットを張るストリングマシンの「東洋造機」。おなじみバレーボールの「ミカサ」――。日本の技術はオリンピック選手を支えているのだ。
また、イスラム圏でモスクから流れてくる礼拝の呼びかけの音。日本ではなかなか経験できない大音量だが、使用されているスピーカーは日本の「TOA株式会社」のものだ。イスラム教徒の多いインドネシアで、約20万カ所もあるといわれるモスクの多くがTOA製のスピーカーだという。現地生産している同社の合弁企業の社長は、こう語る。
「TOA製品の強さの理由は『1970年代から売っている。音が大きくて10年はメンテナンスがいらないから』だそうだ」(『朝日新聞』2013年7月12日)
一方で、海外の商品に押されて日本製携帯電話の苦戦を象徴する「ガラパゴス化」という言葉もある。日本の技術の高さを過信して、海外の消費者が求める安い商品像を考えずに、高機能、過剰機能、高価格を指向したために世界の潮流から孤立してしまった。それが「ガラパゴス化」である。
だが、野田鶴声社のホイッスルをはじめとする日本製品は違う。たとえ高価格であっても、人々が求める高品質が備わっている。そんな商品なら需要はある。いまドイツで「ワギュウ」が人気になっているという。値段は高いが霜降り肉の「和牛」のことだ。ドイツでもこの和牛を育てていて、日本を真似て牛に本場のビールを飲ませているとか。
「価格が高いかどうかは、顧客が決める」
アップルの創設者、スティーブ・ジョブズの言葉だ。一流の仕事人の手になる一流の製品を、その価格だけで評価するのは一流の顧客ではないということだ。また逆に、顧客として一流ではない人間は、一流の仕事もできない。
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