みんなが「ノー」ならあえてやる:一流の働き方(2/2 ページ)
大ヒット商品の成功の担い手たちは、何でも面白がる精神や新しいものに挑戦し続ける特性を持っている。特に上に立つ人間には必須のものだ。これがないと、部下はついてこない。
前例のないところに大成功が待ち構えている
この特性を備えた人間は間違いなく、その人自身が個性的であり、その結果、仕事においても一流の成果をあげる。
「出世=一流」だとは思わないが、私を支えてくれた担当編集者たちのほとんどは、小さな出版社の社長であればその会社は大きく成長したし、社員編集者であれば、トップに上り詰めたり、経営陣の一翼を担うようになった。
ビジネスでの新しい挑戦において、成功するかどうかの冷静な分析は欠かせない。だが、参考にすべき前例のない地に歩み出そうとするなら、最終的にものをいうのは「蛮勇」だろう。
『皆がNOならやってみろ』と明言を残した黒崎さんは、戦後間もなく、出版において漫画がより広く読者の心をつかむことを予見していた。だが、当時は「漫画は低俗で、子どもの教育上よろしくない」という意見が、教育関係者の間では支配的だった。
そんな土壌の中、黒崎さんは読み物中心だった少女雑誌に漫画を取り入れたほか、少年漫画誌の編集にも情熱を燃やした。そのため、教育問題を扱う国会の委員会に参考人として呼ばれ、厳しい意見をぶつけられた。出版社にとっては生命線である紙の供給が、官庁によって制限されていた時代である。
お上ににらまれれば紙が手に入らないこともある。だが、表現としての漫画の可能性、そして出版事業としての漫画の可能性を信じて疑わなかった黒崎さんは、屈しなかった。その委員会を後にするとき、黒崎さんが吐き捨てるように投げつけた言葉がいい。
「そのうち、大学に漫画学部ができますよ」
ある意味で、正しい「蛮勇」である。彼の予言通り、現在、京都精華大学、東京工芸大学をはじめ20校以上で、大学生たちが漫画を学んでいる。
また、日本国内はもとより、日本発信の漫画文化の世界的隆盛はご存じの通り。宮崎駿作品の、世界的評価の例を挙げるまでもないだろう。
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