本記事は、ブログ「EX-IT ExcelとITで効率化して、仕事と人生を楽しもう」より転載、編集しています。
今回は消費税が8%になったとき、経理など各部門ではどういった問題が想定されるかを考えてみましょう。
売上に関する問題点
平成26年(2014年)4月1日以降の取引は、消費税率が8%となります。売上に関しては、3月分までが5%、4月分以降が8%です。
前提として、発生主義(3月分は3月に計上、4月分は4月に計上)であれば、問題はありません。ただし、締め日が末日以外だと、請求書発行、経理の面で問題が生じます。
例えば20日締めであれば、4月20日締めの売上には、
- 3月21日から3月31日→5%
- 4月1日から4月20日→8%
と、2つの消費税率が混在することになります。
まず、請求書システムが対応しているかを確認しなければいけません。請求書システムが対応して入れば、経理も楽なはずです。Excelで請求書を作っている場合も、対応が必要でしょう。
システムが対応していない場合は、締め日を末日に変えてしまうのも手です(もちろん会社として可能であれば、です)。平成27年10月1日(消費税が10%になる)にも、同じ問題が生じますからね。
現実的には、3月21日から31日までの請求書(消費税5%)と4月1日から4月20日までの請求書(消費税8%)の2枚を作る方法もあります。
会計データ入力の際も、末締め以外だと、2つの仕訳を入力することになります。
- 売掛金:1万500、売上高:1万500(5%課税)
- 売掛金:1万800、売上高:1万800(8%課税)
まともに入力をしていると、処理量は2倍になってしまいます。
なお、Excelのマクロ請求書システムの場合は複数税率でも対応可能です。
費用に関する問題点
費用の場合、領収書やレシートをもらう形式の費用は、それを使った日で分ければ大丈夫です。3月分で4月に精算した場合、本来5%のところを8%で計算してしまうと、3%分消費税が少なくなります。
消費税を納める金額が少なくなりますので、後に面倒くさいことになります(税金が少ないということでの罰金も掛かります)。
カード払いや請求書払い(翌月振込)の場合、支払が4月や5月、ときには6月以降になるため、注意しなければいけません。請求書で正しく消費税率が計算されているかのチェックが必要です。3月分なのに、8%の消費税が掛かっていたら損をしてしまいます。
このチェックがかなり煩雑になるでしょう。
想定される現場での処理
会計ソフトの仕組みにもよりますが、おそらく5%と8%を入力時に切り替える作業が発生します。5%だけのときは単に入力すれば消費税5%として処理されていましたが、5%と8%が混在している場合、どちらかを標準の税率として設定し、必要に応じて変えていくようになるはずです。
私の場合、4月1日以降はすべて8%に設定をして、必要あればExcelで直します。会計ソフトのデータをExcelに変換して、5%のものをチェック(又は摘要に「3月分」とあるものを抽出)。一括して8%に置換し、再度、会計ソフトへ取り込みます(元のデータは削除する必要があります)。1つずつ会計ソフトで修正していたら大変ですからね。
当事務所は、Excelでデータを作っている顧客も多いので、「4月以降で3月以前のものがあれば印を付ける」といったことをお願いすることになるかと思います。取込システムやマクロを多少なりとも変更することになるでしょうね。
まとめ
消費税は5%から8%へ3%に上がりますが、現場の負担アップは、3%どころか30%、またはそれ以上となる可能性があります。経理業務の効率化はますます欠かせないものとなるでしょう。
筆者プロフィール
タイムコンサルティング代表取締役・税理士。会計ソフトfreee認定アドバイザー。総務省統計局勤務の国家公務員から税理士となった「ITと数字のプロフェッショナル」。Excelによる業務効率化を得意とする。日課は、早起き(4〜6時)、ブログ執筆、トライアスロンのトレーニング、料理、少々ゲーム。ブログは2007年7月9日より毎日更新中。
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