イー・アクセスは2月10日、米Lucentおよび富士通と共同で携帯電話サービスの実証実験を実施すると発表した。新規に携帯電話用として割り当てられる1.7GHz帯を使い(2004年11月24日の記事参照)、W-CDMA方式で実験を行う。総務省から実験免許を取得し次第開始する予定。
Lucentと富士通は、実験に必要な基地局やコアネットワーク、試験用端末などを提供する。商用サービスでの調達先は未定。端末の調達先についても「国内外を含め、話し合い中」とした。
商用サービスは、番号ポータビリティ(MNP)がスタートする2006年度中を目指す。開始当初は、全国主要都市からサービスし、「5年以内に人口カバー率95%を達成したい」(社長兼COOの種野晴夫氏)。
通信方式は下り最大14.4Mbpsに高速化されたW-CDMAの新方式「HSDPA」を使う(2004年3月3日の記事参照)。
データ通信を主要サービスとするが、当初から音声サービスも提供する。エリア外での利用には、他キャリアとのローミングが必要となるが、「ローミングは実現すれば有効な手段だが、基本的には自力で全国網を構築したい」(種野氏)と消極的。
なお、音声のIP化については「将来はVoIPになっていくと思うが、現時点では違う。コアネットワーク部分のIP化はぜひ進めたい」(種野氏)
料金は、音声は現状の携帯の約半分。データ通信は定額制を目指す。「最終的に目指すのは、PCからの通信も含めた完全定額。固定で実現しているようなサービスを無線でも提供したい」(種野氏)。音声の定額化については難しいとしながらも、自社網内での定額化は可能性があるとした。
設備投資額は約3000億円とした。ドコモなどがインフラ構築に必要とした額からは大幅に少ないが、「2006年は、W-CDMAが世界で主流になってくる。技術も枯れてくる。ドコモが(W-CDMAを)始めた頃のコストと比べると全然違う」(会長兼CEOの千本倖生氏)と話した。
目標とするシェアは10%だ。「10%は全然高くない。ADSLでも10数%を獲得した。意味あるマーケット比率は取りたい」(千本氏)
既存の携帯各社が、単なる通信のパイプ役から、端末やサービスプラットフォームまで自社で抱えるサービスを目指す中、イー・アクセスは通信機能の提供役に徹する方針。
例えば、自社で携帯向けコンテンツサービスのプラットフォームは構築せず、オープンなアーキテクチャーを採る。「ドコモならiモード、auならEZwebにつながる。私どもは、これを自由にしたい。PCのような環境でアクセスできるようにする」(種野氏)
回線の一部を貸し出しすMVNO(用語参照)にも積極的だ。「サービスの一部を切り離して、通信部分だけ提供するなど、いろいろなモデルを提供したい。MNVOや、アプリケーションはISPがやる、通信モジュールを提供して家電に搭載していくなどが考えられる」(種野氏)
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