――どのようなアプリケーションが登場するのでしょう?
まずドアの開閉があります。次に消費者への情報提供があります。例えば“ポスターを見てその商品に関する情報をタグで詳しく取得する”“美術館で展示物を見てその作品に関する詳細情報をタグで取得する”──といった用途が考えられます。われわれは昨年末のユーザーカンファレンスで、ゲームの宣伝ポスターにタグを貼り付け、ゲームをダウンロードするというサービスをデモしました(2004年11月4日の記事参照)。
それからチケッティングや支払いです。例えば、バス会社の場合、バス停にタグを付ければ、バス停で待っている顧客にバスの予想到着時間情報を提供でき、車内では、乗り降りの際にかざすことで乗車券購入の必要がなくなります。
チケットや乗車券は閉鎖されたアプリケーションですが、支払いシステムの場合、クレジットカード会社、銀行、商店とさまざまな企業が関与し、閉鎖的な環境からより広範な環境へと進化します。
今日、携帯電話とクレジットカードは日常生活に欠かせない携帯アイテムですが、この2つの機能を持つ1台の端末を提供できれば、コンシューマーに大きな利益をもたらすことになります。NokiaのNFCを用いた支払いソリューションは、Visa International、MasterCardからの支持も得ています。
――NFCはどのように普及するのでしょう、またその時期は?
欧州では、携帯電話はビジネスユーザー層から普及しました。NFCなどの最新技術もビジネス層からになるでしょう。
時期ですが、NFC Forumには重要な企業がメンバーに入っていることから、普及は「するか・しないか」ではなく、「いつか」がポイントだといえます。ただ、一足飛びにはいきません。Bluetoothがいまのように使われるようになるまで、何年が経過したでしょうか? 1つの指標として、Phillipsは2008年に30%の携帯電話がNFCをサポートすると予想しています。SMSが起爆したのは、20%の携帯電話がサポートした後でした。まだ時間が必要です。
普及ステップとしては、まずサポートする端末が増え、NFCの潜在能力を理解したアプリケーションが多数登場することです。市場がNFCのメリットに気がつくときが起爆点となるでしょう。
――チップ間の互換性は?
チップ間の互換性も同じで、時間が必要です。現在、メーカーはそれぞれのバージョンを推進しており、ソニーのFeliCaはISO14443タイプC、MiFareはISO14443タイプA、TIはISO15693です。これが将来的にはNFCで通信可能となりますが、移行期間があるでしょう。
ただ、現在いえることは、それぞれのメーカー(技術)の地域が重なっていない点です。日本・韓国はFeliCaで、欧州はMiFareです。幸い、いま現在、日本の携帯電話を欧州で使うユーザーはごく少数派です。
――オペレータにとっての価値は?
まず差別化を提供できます。現在オペレータは、顧客維持のためにポータルサービスを提供しています。着メロをダウンロードすればGPRSの利用が生じますが、タッチして購入するようになれば、もっと直感的な購入が実現することでしょう。
また、NFCをサポートした携帯電話自体が付加価値となります。携帯電話をもっと頻繁に利用してもらうことは、オペレータのメリットにつながるでしょう。タグにかざすと3Gビデオをダウンロードする、タグにかざすと発信するなどでトラフィック利用が増えるからです。
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