NFCの真のメリットは“直感的インタフェース”

» 2005年03月03日 03時21分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 近距離無線規格「NFC」(Near Field Communication)は、携帯電話への搭載が進むFeliCaの兄貴分となる通信方式だ。FeliCaおよび欧州で主流のMifare(TypeA)と互換性を持ち、双方向通信も可能。つまり携帯電話に搭載された暁には、搭載端末同士で無線通信が可能になる(2003年12月8日の記事参照)。

 こうした無線通信規格では、通信距離や通信速度などのスペックの優劣が話題になることが多いが、実はNFCは“直感的インタフェースの改善”の手段として期待されている。

 NFCがもたらす未来のデジタル機器のあり方を、「IC CARD WORLD 2005」(東京ビッグサイトで開催中)のソニーブースで体験することができる。

デジタルデータを“手渡す”というインタフェース

 「直感的──。人間の身体を使って、機械に指示ができる」。ソニーFeliCaビジネスセンターの藤井邦英係長は、NFCがもたらす新しいインタフェースをこう表現する。

 この写真はNFCを使った新しいインタフェースのデモだ。NFCチップを組み込んだ携帯電話を使って、写真を撮る。写真が表示された状態でディスプレイの枠に携帯を近づけると、その写真が自動的にディスプレイに転送され表示される。

 今度はプリンタに携帯を近づけてみよう。同じように、写真が自動的に転送され、印刷が行われる。まさに、データを手に持って、持って行きたい機器に運んでいく感覚。「まるで手を使って情報を移し替えるイメージ」(藤井氏)だ。

 この仕組みはこうなっている。それぞれの機器に組み込まれたNFCチップ同士が通信し認証を行う。すると自動的にBluetoothが双方で起動、接続し、画像データが転送される。このNFCからBluetoothに接続が切り替わる(セッションを移す)仕組みをハンドオーバーと呼ぶ。Bluetoothだけでなく、無線LANや有線のイーサネットでもハンドオーバーが可能だという。

 こうしたことが可能なのは、NFCが国際標準規格であり、「上位プロトコルを整備している」(藤井氏)ためだ。認証を中心とした比較的シンプルな使い方の多いFeliCaとは、この点が異なる。

NFCの標準化範囲

 こうした構想は2004年3月のNFC Forum設立時にも語られた(2004年3月18日の記事参照)。しかし現実のデバイスを使ったデモンストレーションを見ると、その直感性は圧倒的だ。

こちらは携帯電話内の音楽ファイルをミニコンポに転送するデモ。やはり携帯をコンポに近づけると、互いのNFCチップを使って認証が行われ、Bluetoothでデータが送信される

 上記写真の右側、ポスターは現在FeliCaを使って提供されている機能(2月22日の記事参照)の進化形ともいえる。携帯電話をポスターに近づけると、ポスター内のFeliCaチップからURL情報が送信され、携帯でWebサイトを閲覧できる。

 FeliCaを組み込んだ携帯の場合、ポスター側と通信するためにはポスターの裏側にFeliCaのリーダー/ライターを組み込む必要があった。電源も必要だし、コストもかさむ。NFCは双方向通信が可能で、FeliCaとの互換性も持つ。ポスターにFeliCaを組み込んでおけば、携帯のNFC側がリーダー/ライターの役割を果たし、通信が行える。

 こうした新しいインタフェースを実現するためのNFCの活用は、単に速度が上がったことや双方向性があることだけでなく、国際標準規格であるNFCならではの使い方だ。ただし、NFCを“情報のスポイト”のように使うには、携帯電話のような機器に搭載されるのが望ましい。

 海外ではNokiaがNFCを搭載した携帯電話のカバーを発表しているが(2004年11月4日の記事参照)、国内でも本格的な展開が待たれる。

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