Intellisyncが702NKに対応した意義とは〜インテリシンクInterview(2/2 ページ)

» 2005年04月08日 21時04分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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キャリア各社とも交渉中

 日本の携帯電話市場の焦点はコンシューマに合わせて作られているので、IMSのような企業向けアプリケーションを作っている立場から見ると非常にクローズドだ、と荒井氏は話す。特に悩ましいのが、アドレス帳など、携帯端末の中にあるデータへ、アプリケーションから制御できる範囲が非常に狭いところ。しかしここを乗り越えないと、企業向けアプリケーションは使いやすいものを作れない、という。

 通信キャリアとは長く付き合いがあり「企業用途ではこのようなニーズがあるから、それを満たすために次世代ではこのような機能を入れて欲しい」というリクエストを、インテリシンクからも定期的に出しているという。「それは真面目に聞いてもらっているから、今後は良くなっていくと思う」と荒井氏。PDAと携帯との間の機能差も、少しずつ埋まっていく見通しだ。

月額数百円の企業向けサービスは成り立たない

 荒井氏は米Intellisyncの副社長でもあり、普段は米国で生活、仕事をしている。その立場から見ると、日本で通信キャリアが提供している、安価な企業向け携帯サービス、例えばKDDIの「ケータイオフィス」(参考記事 12)などは成功が難しいのではないかという。

 なぜ成功しないのだろうか? その理由は「企業内個人は自分でお金を払わなくてはならないから」だという。

 「米国では、プッシュ型のメールサービスに月50ドル〜70ドル払うのが普通です。それは、エグゼクティブはメールベースでビジネスするというのが定着しているのももちろんあるが、それに加えて(このようなサービスの利用料を)経費として会社につけられる文化があるためです。でも日本は逆ですね。携帯の通話料すら社員が自分で払っている会社が多い。通話料に加えて、月に5000〜7000円も個人で払えないでしょう。個人が毎月自腹で払えるお金はせいぜい300〜500円というところ。しかしそれでは総額が少なすぎて、採算が合いません。会社がお金を払ってくれるのは、情報システム部がからんだ場合か、あるいはものすごく重要な必要性がある場合だけ。セキュリティなどがそれに当たります。だからIMSは、情報システムを通してシステムで販売し、ライセンスを買ってもらう形になっています。その代わり『社内にある、個人が使っている携帯を全部サポートしてくれ』と言われて、それに応えなくてはならないわけですが」(荒井氏)

 IMSの競合製品といえるのが、米VISTOの“Visto Mobile”(1月24日の記事参照)や、加RIMのBlackberryだ。しかしVISTOもRIMもまだ日本には上陸していない。携帯電話を利用した企業向けシステムは、まだ始まったばかりだ。

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