クルマが求めるワイヤレス通信とは?──トヨタ自動車キーマンが語るワイヤレス業界のこれから(3/4 ページ)

» 2005年07月11日 20時50分 公開
[神尾寿,ITmedia]

ITmedia 21世紀のクルマにとって「安全」と並んで重要なのが、「環境」です。こちらの分野でモバイルIT技術はどのような貢献に期待されているのでしょうか。

大西 環境面では先ほど申し上げたプローブカーが渋滞回避に役立つと考えられるほか、クルマと公共交通の効果的な併用を促す「パーク・アンド・ライド」や、(駐車場探しのムダな時間を抑制する)「駐車場満車空車情報」など、テレマティクス分野のサービスが役立つと考えています。

ITmedia 環境問題では商用車の排出ガスも大きな問題になっていますが、こちらはいかがでしょうか。

大西 こちらも商用車のムダな運用を減らすことが重要だと考えています。例えば我々が提供する自販機商品デリバリーシステム「TIME・d」では自販機とルートカー、営業所をPHS通信経由で接続し、ムダな動きのない商品補充を可能にしています。このシステムの応用版は中京コカ・コーラなどで実際に使われています。

ITmedia 物流と小売り分野の情報化、モバイルIT活用は今後さらに重要になりそうですね。

大西 日本市場の場合、大容量・長距離の輸送も多いのですが、それ以上に突出して多いのが小容量・中短距離の輸送量です。これは宅配便サービスやコンビニエンスストアなどの配送システムが(海外に比べて)きめ細かくなっているからだと考えられます。日本における商用車の排出ガス削減では、中短距離の輸送をどれだけ効率化し、ムダなエネルギー消費を減らすかが重要です。この点でモバイルITが活用できる領域は大きいでしょう。

「ベストエフォート」ではなく「確実と安定」を

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