ITmedia 今年から来年の注目ポイントとしては地上デジタル放送1セグメント放送(地デジ1セグ)の開始があります。これはニッチタイムをモバイルコンテンツと取り合うのではないか、という見方もできるのですが、いかがでしょうか。
岸原 テレビと携帯電話の融合で、新しいポータルができる。これがメリットだというのが、基本的な認識です。テレビがユーザーに与える影響力も強いですから、1セグでそれがモバイルコンテンツへの誘因となれば、それは市場全体のメリットになると考えています。
一方で、テレビは無料モデルですから、そこに有料モデルであるモバイルコンテンツが影響されるのではないかという懸念もあるわけですが、実は1セグだけでなく、フルブラウザによっても無料モデルは入ってくる。今後、モバイルコンテンツが(ユーザー側から見たら無料の)広告モデルに影響される可能性はあるかもしれません。
ITmedia フルブラウザに関してはドコモやauをはじめ各キャリアが搭載を前向きに検討し始めました。1セグもそうですが、無料モデルがモバイルコンテンツ市場に持ち込まれることは、これまでの「有料コンテンツ」前提のモデルにとって厳しい局面になるのではないでしょうか。
岸原 今すぐはまだ、フルブラウザのPCサイト再現力や使いやすさに課題がありますので、あまりないと考えています。しかし将来においては、情報系コンテンツなどは(無料モデルの)影響を受けるかもしれません。しかし一方で、無料モデルと有料モデルが携帯電話の中で融合すると、(ユーザーのコンテンツ利用が増えて)モバイルコンテンツ市場そのものを拡大する可能性もあります。
またテレビやPCサイトの無料モデルを見ても、(事業者の)本音の部分では有料課金モデルをやりたいんじゃないかと考えています。しかし、テレビやPCサイトは利用者が受け入れやすい有料課金システムがなく、広告モデルによる無料化をせざるを得なかった。
ITmedia その代償がコンテンツの集約ですね。例えばテレビでは、東京でも民放は5局しかなく同時に見られるコンテンツは集約されている。PCサイトでもビジネスベースに乗り、広告モデルで質の高いコンテンツ提供が可能な事業者は限られています。
岸原 広告モデルではどうしても「マスのニーズ」が大事になります。この中では、10人のうち2人はお金を出しても見たいというコンテンツがあっても、広告モデルでは排除されてしまう。携帯電話内で無料コンテンツと有料コンテンツの棲み分けはできるでしょう。
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