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» 2005年07月20日 16時22分 公開

神尾寿の時事日想:おサイフケータイに鍵が加わると何が変わる?──KESAKAシステム (2/2)

[神尾寿,ITmedia]
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入居者ニーズは「セキュリティ」「利便性」

 もちろん、KESAKAシステム設立時は、マンションオーナーだけでなく、入居者のニーズも重要視した。それが「セキュリティ」と「利便性」だという。

 「まずセキュリティは重要な部分です。我々は集合住宅ならではのメリットとして安全性を打ち出していますが、おサイフケータイを使ったシステムでは、施錠・解錠がFeliCaになり安全性が従来型の鍵よりも増す上に、利用履歴や解錠通知メールといったサービスが利用できます。安全性の高い電子錠ソリューションとしては、生体認証など精度の高いものが他にも複数ありますが、ネットワークサービスとの連携という点では、おサイフケータイがもっとも優れている。ここを重視しました」(早川氏)

 実際、入居者に好評なのが、KESAKAシステムのFeliCa電子錠に物理的な「鍵穴」が存在しないことと、施錠確認・解錠確認といったネットワークサービスだという。これらはセキュリティという点で優れているだけでなく、携帯電話を使った新たな鍵の利便性にもなっている。

 「もうひとつ利便性としてあげられるのが、これは分譲マンションで重要なのですけれど、コミュニケーションやコミュニティ機能ですね。分譲マンションでは入居者への連絡や住民総会といったコミュニケーションが必要になりますが、おサイフケータイならば、ネットワーク機能を通じてこれらのサービスを提供できます。また会議室など共用施設の予約なども一種の(コミュニティ)サービスですが、これらも簡単にできる。入居者の満足度を上げる、他の物件との差別化をするという点で、おサイフケータイは効果の高いツールです」(早川氏)

 おサイフケータイの“メリット”は入居者にもしっかりと伝わっている。KESAKAシステムのFeliCa電子錠システムでは、基本サービスはFeliCaカードで提供されており、これは毎月の利用料金はかからない。一方、おサイフケータイ対応のkesakaサービスは月額420円かかるが、同社のシステムが導入されたマンションでは入居者の65%が同サービスを利用しているという。

 「最初(のおサイフケータイ利用率)は50%未満でした。しかし、入居開始後半年ほどで65%まで上昇しました。近所の方がおサイフケータイを使っていると、その便利さが浸透するようですね」(早川氏)

 1つのマンションで65%の世帯がおサイフケータイを所有し、使っているというのは、おサイフケータイの登場時期から考えれば驚異的だ。kesakaサービスが使いたいために、最新のおサイフケータイに機種変更したり、他キャリアからドコモに変更した入居者も多いという。

 また、KESAKAシステムを導入した新築賃貸マンションでは、周辺相場6万円程度の物件を7万5千円で売り出したところ、入居率は100%になったという。おサイフケータイ対応マンションはまだ少なく、物件紹介時のサービス説明が念入りに行われている効果もあるだろうが、付加価値ツールとしての効果は高い。

今後のターゲットは「リフォーム市場」

 KESAKAシステムでは、これまで新築物件向けを中心におサイフケータイ対応のソリューションを投入してきた。これはおサイフケータイのメリットを完全に引き出すサービスには、物件側のネットワーク対応や作り込みが必要だったためだ。しかし、ビジネスの裾野という観点では、既存物件への展開が今後の重要なターゲットになるという。

 「不動産業界の競争は今後も激しくなっていきます。既存物件も便利なものになっていかなければいけない。マンションはもちろん、戸建ても含めてリフォーム市場でのおサイフケータイ対応ニーズは大きい」(早川氏)

 既報のとおり、KESAKAシステムでは既存物件向けのシステムとして、アルファ、コネクトテクノロジーズと共同でおサイフケータイ対応玄関錠「エントリーロック」を今年9月から投入する予定だ(7月20日の記事参照)。これはkesakaサービスのフルサービスは利用できないが、既存住宅の約8割に対応。予定価格も6万8000円と安い。これにより賃貸マンションや戸建て住宅、短期滞在マンション市場にアプローチしていくという。

 「おサイフケータイも使うFeliCa ICのソリューションは、交通分野を中心に広まりました。その次に普及するのが『出入り口』の分野です。我々は実際にサービスを開始していますが、おサイフケータイは住宅にものすごくあっていた。不動産産業のビジネスを拡大する効果もあります。今後の生活インフラ、プラットフォームとして、おサイフケータイの電子錠は爆発的な普及をするでしょう」(早川氏)

 携帯電話と鍵。普段、何気なく持ち歩く2つが融合することで、新たなユーザーメリットとビジネスがうまれてきている。

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