先日、NTTドコモの「FOMAらくらくホンII」の発表会に行ってきた。専用iメニューである「らくらくiメニュー」や、ボタンを押す順番を光って教えてくれる「光ナビ」など、ユーザーインタフェース(UI)が非常に練られている。同じ高齢者向け端末である「ツーカーS」が機能を削いでいく方向だとすれば、FOMAらくらくホンIIは、豊富な機能を使いやすいUIがサポートする端末、という印象を受けた。
ただし、気になった点が2つあった。1つはデザインの地味さ、そしてもう1つはおサイフケータイ(iモードFeliCa)に対応していないという点だ。
言うまでもないが、常に持ち歩くモノのデザインは重要だ。らくらくホンのデザインは、手に持ったときのなじみのよさや、ボタンの押しやすさなどには配慮されているが、「思わず欲しくなるようなデザイン」とは言い難い。
しかし携帯電話の機能そのものに興味を持ってくれる若年層のヘビーユーザーと違い、高齢者ユーザーは「携帯電話は通話することがメインの機械」と考えている人が多いはずだ。それだけに、“持つ喜び”を与えてくれるようなデザインは、機能よりも購買意欲に直結する。
以前auの「W32K」テスター(55歳と78歳)に取材をしたときにも、和風の絵柄のジャケットに、ホタルが飛ぶようなLEDを仕掛けてあるNTTドコモ「P901iS」のデザインは、非常に評価が高かった(6月24日の記事参照)。「高齢者ユーザーが思わず欲しくなるようなデザイン」へのニーズは大きいはずだ。
FOMAらくらくホンIIは、なぜおサイフケータイに対応していないのか。発表会で複数の担当者にたずねたところ、答えはさまざまだった。「市場の動向を見据え、シニア層にニーズがあるかどうか見極めてから考えたい」「おサイフケータイを使うのは先進層。機能を増やすことで使いこなせなくなるのが怖い」「おサイフケータイを載せるとなったら、らくらくホン向けのおサイフケータイメニューを考えなくてはならない」などだ。
しかし記者は、携帯電話のリテラシーと、おサイフケータイのニーズは全く別物だと考えている。「かざすとモノが買える」「かざすと電車に乗れる」というオペレーションは非常に簡単で、むしろ“誰でも使える”ユニバーサルデザインともいえるものだ。現在FOMAのラインアップのうち、ハイエンド向け端末しかiモードFeliCaには対応していないが、それはユーザーニーズを見誤っているのではないだろうか。
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