連載
» 2005年12月28日 12時48分 公開

特集:FeliCa携帯、本格始動:ドコモ九州長崎支店の「おサイフケータイ普及戦略」 (1/2)

おサイフケータイでバスに乗れる「モバイル長崎スマートカード」。ドコモのFeliCa端末全機種対応の裏には、ドコモ九州の技術的なバックアップがあった。「使える場所を増やす」という課題をどう解決していくか、ドコモ九州長崎支店の取り組みを聞く。

[神尾寿,ITmedia]

 12月12日、長崎のバス会社4社で共通利用できるおサイフケータイ対応サービス「モバイル長崎スマートカード」が始まった(12月12日の記事参照)。同サービスは複数のバス事業者にまたがって利用できるという点で日本初であり、対応する車両数も合計1306台と多いのが特徴だ。

 モバイル長崎スマートカードの実現にあたっては、NTTドコモ九州長崎支店が長崎県バス協会の取り組みに深くコミットしている。本日の時事日想は特別編として、NTTドコモ九州長崎支店長の首藤雄二氏のインタビューをお届けする。

NTTドコモ九州長崎支店長の首藤雄二氏

長崎では「あまり使うところがない」という課題

 今回、ドコモ長崎支店が「モバイル長崎スマートカード」の実現というソリューション開発に関わった背景には、おサイフケータイを取り巻く地方都市の外部環境がある。おサイフケータイが登場してから1年あまりが経過し、901iSシリーズ以降はハイエンドモデルの標準装備になっているが、端末ラインアップが充実する一方で、「使える場所」の課題が顕在化しているという。

 「九州地区でのおサイフケータイ販売台数は約70万台、長崎支店は支店別シェアで約10%弱を持っています。県別の稼働台数というデータはないのですが、およそ7万台あまりが長崎地域のおサイフケータイユーザー数ということになります。しかし、一方で『使われ方』という点で言いますと、現在はEdyが中心という事になるのですが、長崎県内ではEdyが使える店舗も少ない状況です。駅前にam/pmがありますが、全県下で見ると少ない」(首藤氏)

 長崎でのおサイフケータイを取り巻く環境では、ANAが主体となって進めるEdyの普及に、タイアップとして長崎支店として関わるケースが多かったという。その最大の例が佐世保にある総合観光施設「ハウステンボス」である(2004年12月16日の記事参照)。だが、これらANAが推進する取り組みは観光客向けが主体であり、長崎県民の日常生活に関わる分野ではおサイフケータイ対応が進んでいなかったのが実情だ。

 「長崎や佐世保の大きな商店街に(おサイフケータイ対応の)拡販にいったのですが、導入コストの問題で成約に結びついていない。昨年8月に長崎大丸がEdy対応をしたのですが(8月26日の記事参照)、なかなか利用可能な場所が増えていかない。長崎のおサイフケータイユーザーは、端末を購入したはいいが、『あまり使うところがない』という状況にありました。この状況の改善が(おサイフケータイの今後の販売には)必要であり、昨年からの課題になっていました」(首藤氏)

長崎初の大型案件で地元へのPR効果を狙う

 おサイフケータイの利用可能場所の確保が急務。そのような中で注目したのが、長崎県バス協会の長崎スマートカードだ。先の記事の通り、同協会では2002年から非接触IC「FeliCa」(10月24日の記事参照)を用いた乗車券システムを導入していた。

 「(長崎でのバス利用客は)1日平均27万人、年間で6千万回以上の乗降がある。スマートカードの利用率も6割を超えている。市場規模の点で、おサイフケータイの利用先として大きな効果が期待できる。特に(おサイフケータイではドコモが先行するので)チャーンイン効果として、バス利用者で他キャリアを使うユーザーを取り込めるのではないか、という狙いがありました」(首藤氏)

 さらに、おサイフケータイの販促効果と並んで、重視したのが「長崎初で、しかも全国初の案件」を作ることだったという。

 「長崎でおサイフケータイに注目を集める上でも、全国初の案件を目指すという部分にもこだわりました。つまり、何としてもモバイルSuicaよりも先にサービス開始したかった。(公共交通のおサイフケータイ対応として)JR東日本に先駆ければ、地元マスコミの注目も集められますから」(首藤氏)

 おサイフケータイを利用可能な場所を作り、それをアピールする。取材中、繰り返し語られたのが、「おサイフケータイが実際にユーザーに使われる機能にならなければならない」という点だ。おサイフケータイの利用率向上は大都市圏でも課題になっているが、地方ではより切実だ。

おサイフケータイ全機種対応へのこだわり

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