1月31日、アイシェアが子ども向け携帯に関する意識調査の結果を発表した(2月2日の記事参照)。これによると子どもに防犯携帯電話を持たせたいと考える親は全体の64%。小学生から持たせたいという回答も14%あったという。子どもを狙った犯罪、子どもが巻き込まれるトラブルが増える中で、「子どもの安全と親の安心」にかけるコストは当然のものになろうとしている。
また2月2日、KDDIが4月上旬から青少年向けのコンテンツアクセス制限サービス「EZ安心アクセスサービス」を導入と発表した(2月2日の記事参照)。これはKDDIが認定した公式コンテンツ以外のアクセスを制限するもので、子どもが出会い系サイトや一般掲示板でのトラブルに巻き込まれるリスクを抑制するものだ。
子ども向けのコンテンツサービスとしては、NTTドコモが以前から「キッズiモード」(2003年8月21日の記事参照)を導入しており、これを筆者は高く評価していた(2005年11月25日の記事参照)。同様のサービスがKDDIから提供されることはよいことだ。この流れにボーダフォンも早く乗った方がいいだろう。
ドコモが作り出した流れにauが乗ったことで、コンテンツ分野の中に「子ども向け」のカテゴリーが登場するのは間違いない。これは市場としても魅力的で、先日インタビューしたNTTドコモマルチメディアサービス部長の夏野剛氏によると、「キッズiメニューを作るという話を持ちかけると、予想以上に多くのコンテンツプロバイダーが積極的に参入したいと申し出てくれた」という。子ども向け携帯電話は親のセキュリティニーズから普及するが、日常域ではキャラクター配信やエンタテイメント分野の市場が大きい。親と子どもが納得して使える課金システムなどもあわせて提供されれば、この市場はさらに発展すると思う。
一方で、端末についても「子ども向け」の専用化が必要だと考えている。この分野の商品企画として筆者はドコモのSA800i「キッズケータイ」(2005年11月24日の記事参照)が優れていると評価しているが、まだラインアップの数が少ないのも事実だ。子ども向けの場合、防犯性能の高さはもちろんだが、耐衝撃性能や防水性能なども大人向けより高いレベルで必要になる。また、カメラ機能などは性能より「遊び方重視」の提案ができるだろう。QRコードやFeliCa、プッシュツートークといった付加価値機能も、子ども向けという視点で考えると、また新たな可能性が見えてくる。
子ども向け市場を本格的に開拓するには、この市場のプロフェッショナルが手がけた「子供騙しではない子ども向け端末」が必要だと思う。
日本は少子化のただ中にあるが、その傾向に反比例するように1世帯あたりの子ども向け支出は伸びている。しかし、携帯電話は防犯への期待がある一方で、子どもの使いすぎや別のリスクに繋がるのではないかという親の不安もある(2005年7月28日の記事参照)。子ども市場に健全な形に参入するためにも、専用の端末とコンテンツサービスの拡充は今後さらに重要になるだろう。
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