KDDIの神山隆氏は、「着うた」や「着うたフル」、「EZ FM」などのサービスの立ち上げに従事し、KDDIのメディア開発関連業務の一翼を担ってきたキーマンだ。コンテンツ・メディア事業本部メディア本部コンテンツビジネス部長を勤める同氏は、2月6日のNICT情報通信ビジネスセミナーで、KDDIが考える放送と通信の連携について話した。
神山氏は、2003年11月のCDMA 1X WINサービスの開始以来、「ケータイのメディア化」を進めてきた事を紹介。携帯電話を、ただ話したりメールしたりするだけのものでなく、さまざまな情報に接触するためのメディアにすべく、打ち出してきた施策について説明した。
現在、KDDIのWINサービスに加入しているのは2005年12月末時点でおよそ675万契約。そのうち約81パーセントが「ダブル定額」あるいは「ダブル定額ライト」を利用している(1月24日の記事参照)。料金が最少で1050円のダブル定額方式(ダブル定額ライト)を導入したことで敷居が低くなり、多くのユーザーが加入するに至った。その結果、WINのパケット通信を定額で利用している人の78パーセントは、以前よりパケット利用が増えたと認識しているという。
この定額料金利用者の71パーセントはEZwebを毎日利用するヘビーユーザーということもあり、WINサービス用のEZwebポータルサイトへのアクセス数は、CDMA 1X用ポータルのアクセス数の減少ペースをはるかに上回るペースで上昇している。
コンテンツの利用頻度も向上している。着うたサービスは、1月に累計3億ダウンロードを達成。「ビジネス規模としてはアップルコンピュータのiTunes Music Storeに匹敵する成功だと考えている」と神山氏。着うたフルの利用も、着うたとほぼ同じペースで伸びている。また携帯電話で読む電子書籍「EZブック」の利用は1年で10倍に増え、携帯電話で閲覧・更新できるブログサイト「DUOBLOG」を通したユーザー同士のコミュニケーションも活発になった。オークション事業を含むモバイルコマース事業も、売り上げは増加傾向だという。パケット定額制導入以来、神山氏は「携帯電話のメディア化は確実に進んでいる」と見る。
しかし、ユーザーが携帯電話を利用する時間は、「24時間の中で平均1時間程度」。今後さらにユーザーの時間を携帯電話利用に向かわせるためには、テレビやラジオの視聴時間などを奪っていく必要も出てくる。
とはいえ、何でも携帯電話を使ってやってほしいというのには無理がある。KDDIはすでに「EZチャンネル」という映像配信サービスを行っているが、携帯電話のネットワークを利用した映像配信は、ネットワークに負荷がかかる割に収入には結びつかないし、何より技術面や法律面でのハードルも高い。
そこでKDDIが目を付けたのが、放送メディアできっかけを作り、携帯電話を用いてアクション起こさせるというサイクルだ(2004年6月28日の記事参照)
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