4月1日、西日本高速道路と西日本高速道路サービス・ホールディングスが九州エリアのサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)の53カ所で少額決済システムの導入実験を開始した。別記事でも述べた通り(4月3日の記事参照)、SA・PAは「手つかずの少額決済市場」であり、ロードサイド市場の中でも成長が期待できる分野だ。
今日の時事日想は特別編として、実験開始初日の各SA・PAの状況をレポート。FeliCa決済におけるSA・PAの可能性について考えていく。
実験に参加した4方式のFeliCa決済対応SA・PAの中でも、最も積極的に利用促進キャンペーンを行っていたのが、基山PAにあった三井住友カード&NTTドコモの「iD」(2005年11月8日の記事参照)だ。特設テントでは三井住友カードによるiDのデモンストレーションと加入申し込みの受付が行われていたほか、ドコモ九州の社員も説明員として参加。最新のドコモ902iシリーズ(特集参照)の展示や紹介コーナーもあり、筆者が取材している間にもPA利用者が興味深くiDのデモを見学し、数人がiD利用のために三井住友カードの加入申し込みをしていた。
基山PA内では販売店舗にiDのリーダー/ライターが設置されている。取材日はサービス開始初日のお昼すぎであったが、「すでに10人以上のお客様がiDをご利用になっていました。初日ということを考えれば、予想以上」(基山PA売店店長の福田和雄氏)だという。基山PAは上下線ともにiDを導入しており、
「特に上り線は休日になるとお土産物の販売が増え、顧客単価が(飲食物中心よりも)上がります。1000円以上の決済が多い。(プリペイドの電子マネーよりも)クレジット決済サービスの方がご利用状況には合っているのかなと思っています」(福田氏)
iDは今のところ“ドコモだけ”のサービスであるが、取材をしたかぎり、テナント側ではそれを不利だとは感じていないようだ。むしろ、ドコモブランドの効果や今後のタイアップキャンペーンに期待しているという。
今回の利用促進キャンペーンを見ても、ドコモ製品の展示が来客者の興味を引く一因になっていたのは事実である。また九州エリアはドコモショップによる販売比率が他地域よりも多いのも特徴であり、ドコモがカード発行会社となるiDが始まれば、その積極的な拡販と利用促進効果に期待できる。今回のSA・PA実験でも、利用可能場所は4方式中で最大の18カ所。加盟店開発を行う三井住友カードはもちろんだが、ドコモ九州の力の入れようが印象的だった。改めて、地方における「ドコモの底力」を感じさせられた。
金立SAはUFJニコスの「スマートプラス」(2月22日の記事参照)を導入しており、実験開始初日はUFJニコスによる利用促進キャンペーンが行われていた。基山PAのiDでは、「ドコモのサービス」を積極的に打ち出していたが、スマートプラスは逆に「3キャリア対応」を積極的にアピール。展示ブース内にはドコモ、au、ボーダフォンのおサイフケータイが用意されていた。実際にリーダー/ライターに携帯電話をかざして、利用感覚を試すことができたほか、カードタイプのスマートプラスも展示されていた。
SA内では販売店とレストランでスマートプラスが利用できる。販売店で利用できるレジはまだ限られているが、「既存のクレジット決済端末と親和性が高いのがスマートプラスのメリット。その点をご理解いただき、今後は利用可能な場所を増やしていきたい」(UFJニコスIT事業部Smartplus推進室マネージャーの鹿内一晴氏)という。
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