せっかく高いお金を払って携帯に音楽をダウンロードしても、データは所詮機種変するまでの命。機種変したあとに同じ曲をダウンロードしたら、料金は2回支払うことになる。miniSDカードやLISMOなどを使えばデータをバックアップする方法も一部あるとはいえ、キャリアを替えたらデータは引っ越しできない。
また、最近増えてきている携帯向け動画配信サービスを見ると「小さなデータで解像度も低いムービーなのに、なぜこんなに高いのだろう」と思ってしまう。DVDを買ったり、PCでネット配信されているのと同じ内容のムービーを携帯で見たいと思えば、それぞれの機器ごとにお金を払ってダウンロードしなくてはならない。それもなんだか納得がいかないし、自力で動画コンテンツをエンコードし、携帯で見ているというユーザーはまだまだ少ない。
一方、PC向けにネットでコンテンツを配信する業者も、実は深刻な悩みを抱えている。こちらは「課金の方法が確立されていない」という悩みだ。
PCインターネットの世界では、コンテンツは無料なのが当たり前。近年の家庭向けPCは、大型の液晶ディスプレイを搭載してテレビ化したり、家具のようなデザインを採用するなどして“リビングへの進出”を目指している。また、ブロードバンド環境が普及し、動画データを家庭に配信することは技術的には非常に簡単だ。しかし「家にいながらにしてレンタルビデオ」のような文化が定着しないのは、視聴者に課金する仕組みが確立していないためだ。視聴者から料金を回収するのが難しいので、広告収入を柱にして、コンテンツは無料で視聴者に提供するビジネスモデルにならざるを得ない。「GyaO」(2005年12月15日の記事参照)などはそのいい例と言える。
このあたりの悩みを解決し、PCと携帯の有料コンテンツの世界を上手くつなげようとする試みが始まっている。仕掛けているのはフェイス。かつて、iモード黎明期に、着メロのプラットフォームを作った会社だ。ビジネスインテグレーション事業部の古谷彰男氏と、サービスプロデュース事業部の小森由宗氏に話を聞いた。
4月7日、インテルが開発者向けに開催するイベント「Intel Developer Forum Japan 2006」で、一風変わったデモが行われた(4月7日の記事参照)。
ユーザーはW-ZERO3を使って、ネットから動画コンテンツを購入する。そこで見られるのは、解像度が低く、予告編のような内容の短い動画だ。その後、ViivベースのPCにW-ZERO3を近づけると、無線LANのアドホックモードでPCとW-ZERO3がつながり、PCに表示された動画リストの中から、W-ZERO3で購入した動画だけに「購入済み」のマークが付き、ユーザーはW-ZERO3で購入した動画の本編をPCの大画面で見ることができる……というものである。
インテルはデジタルホーム構想を進めており、その中核が「Viivテクノロジ」といえる。上に書いた「家電につながるPC」や「リビングに入っていくPC」といった目標もデジタルホームの一環だ。「インテルが考える、Viivを使った家庭向けコンテンツ配信はこういうイメージ」というメッセージを伝えるために行われたデモだが、この仕組みを作っているのがフェイスだ。
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