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番号ポータビリティでシェア30%を獲る──KDDIの挑戦 (1/2)

実力のあるNo.2として、ドコモを脅かす存在にまで成長したKDDI。同社はMNPをにらみ、まずは家庭内のキーパーソンを攻め、そこから“auだけの世帯”を増やしていくという。
2006年06月30日 23時04分 更新

 番号ポータビリティ制度(MNP)実施にあたり、その動向が最も注目されているキャリアが、auとツーカーを持つKDDIだろう。特にauは、さまざまなユーザー調査で高い人気を示すなど、“実力あるNo.2”の地歩を確立している。

 KDDI、そしてauは、MNPにおいてどのような攻めの姿勢を見せるのか。KDDI au営業本部長 兼 au事業本部 関東統括責任者の福崎努氏に、MNPを前にしたKDDIの取り組みについて聞いた。

Photo KDDI au営業本部長兼au事業本部関東統括責任者の福崎努氏

「auのよさを伝える」ことを重視

 auはこの数年、純増シェアで常にドコモを上回ってきた。その背景には、ドコモより有利に進んだ3Gへの移行、音楽・デザイン分野を牽引役にしたブランド力の向上があったが、福崎氏ら営業サイドでは「auのよさを、いかにお客様に伝えきるか」に腐心したという。

 「空中戦(テレビCMなど)はもちろんですが、そこと販売現場をしっかりと噛みあわせていく。お客様には“auのよさ”が、まだ十分に浸透していないと考えています。これを現場でしっかりとお客様に伝える。この部分は非常に力を入れました」(福崎氏)

 テレビCMやラジオ、一般誌での広告では、パッと見てわかりやすい「音楽とデザイン」を訴求してきた。今やこの2つはauのブランドイメージを形作る両輪になっているが、販売現場ではそれ以外の幅広い“auのよさ”を訴えた。

 「例えばGPSサービスと、それを使った『安心ナビ』などは、auが先行している分野です。しかも安心ナビは、(親子や家族など)複数ユーザーを獲得するフックになります」と福崎氏は話す。

 「EZナビウォーク」や安心ナビなどは、ユーザー側がある程度理解し、実際に使ってみないとそのよさがわかりにくい説明商品である。そのためテレビCMなどで簡単に魅力を伝えるのが難しい。一方で、EZナビウォークや安心ナビの解約率は低く、GPS型のサービスは、その便利さが理解されると手放せなくなる傾向がある。

 auは独自のサービスを数多く投入してきたが、それをマス広告でアピールするだけでなく、販売店を使って地道に広げていることが、純増数での好調と高い利用満足度につながっていると言えそうだ。

“auだけの世帯”を増やしたい

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 純増シェアの高さ(6月7日の記事参照)から、auは好調だと見られることが多い。しかし福崎氏は、auの利用者構成に大きな課題が残されていると指摘する。

 「家族全員がauだけを使う。いわゆる独占世帯のシェアが、現在のauは他社に比べて低いんですよ。我々は、MNPの時に『家族まるごと』の流動化が起きる可能性が高いと予測しています。ここで独占世帯を獲りにいきたい」(福崎氏)

 独占世帯の分野で強いのは、いうまでもなくドコモだ。そこでauでは、すでに布石を打ち始めている。福崎氏は「MNPで独占世帯の流動化が起きるときの“キーパーソンは誰か”という点が非常に重要で、ここは意識してさまざまな施策を行っています」と話す。具体的な施策の1つが「MY割」だ。この獲得率が上がっており、成果を感じているという。

 MNPでauが独占世帯を獲りに行くときに重要なのは、それぞれの家族にauのよさを理解した“エバンジェリスト”(伝道師)役の人間がいることである。MY割は独身世帯を囲い込む割引サービスであるが、もう1つの狙いとして“家族の中の1人だけでも安くなる”という点があるという。

 「今の段階で(ドコモユーザーの比率が高い)30代から40代のセグメントで我々が弱いのは理解しています。この層は電話番号が変わることが障壁になりますし、彼ら向けの端末を用意しなければならない。(現時点では)MY割で、他社の独占世帯の1人を切り崩したいわけですね。そしてMNPでは、切り崩した1人から、その家族をまるごとauで獲得したいと考えています」(福崎氏)

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[神尾寿,ITmedia]

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