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» 2006年07月03日 17時04分 公開

日本でも「Bluetooth標準対応」を検討すべき 神尾寿の時事日想:

ここにきて、携帯電話のBluetooth対応が進み始めている。“ドコモのP”が対応して出荷台数の伸びが期待できること、Bluetoothの利用用途として“携帯で音楽”に注目が集まっていることが理由だが、そろそろ標準搭載になってもいいのではないだろうか。

[ITmedia]

 シチズン時計が7月7日から、Bluetoothを搭載した腕時計「i:VIRT」を発売する(6月9日の記事参照)。詳しくは関連記事に譲るが、これは携帯電話の着信を、光と振動で知らせるという“世界初”の携帯連動型ウォッチだ。今のところ通話機能はないものの、着信通知や置き忘れ防止機能など用意されており、実際の利便性と今後の展開に期待できるアイテムである。

 i:VIRTのようにユニークな製品だけではない。今年に入ってから、日本のBluetooth機器市場は盛り上がりを見せ始めている。ヘッドセットメーカーのプラントロニクスやJabraはBluetoothヘッドセットの新製品を相次いで日本市場に投入(6月28日の記事参照)。筆者は現在、プラントロニクスの最新モデル「DISCOVERY 640」(6月7日の記事参照)を仕事中と運転中に使っているが、小型・軽量で使いやすい。魅力的なBluetoothヘッドセットが日本市場にも積極的に入ってくるようになったのは喜ばしいことだ。

 ヘッドセット以外では、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)対応のBluetoothステレオイヤフォンが増えてきたのも注目だろう。この分野ではモバイルキャストやJabraが製品を投入している(2005年7月29日の記事参照)。また、ドコモのP902iS MEにはドコモ純正のBluetoothステレオイヤフォンが付属している。こちらも筆者は所有しており(6月13日の記事参照)、電車移動時に使っているが「音楽を聴きながら、着信を受けられる」のはすこぶる便利である。

 このように日本でBluetooth機器が増え始めた背景には、大きく2つの理由がある。

 1つは、ドコモの「P902i」と「P902iS」が相次いでBluetooth機能を搭載し、市場に広がるBluetooth携帯電話のボリュームに期待が持てるようになったこと。ドコモの企画端末や他キャリアの端末ではなく、ドコモの主流モデルにBluetooth機能が搭載された影響は大きかった。さらにドコモは昨年、本格的なBluetoothのサポート体制を構築しており、販売店が売りやすい環境になってきている。Bluetooth携帯電話の普及に一定のボリュームが見込めることで、関連機器メーカーが製品を投入しやすくなったのだ。

 そして、もう1つの理由が、Bluetoothの用途として「音楽」がクローズアップされたことだろう。これはP902iSのインタビューでも述べられているが(6月5日の記事参照)、携帯電話と音楽プレーヤー機能を両立させるには、Bluetoothイヤフォンを使った方がいい。また将来的に映像の世界にコンテンツの駒を進める際にも、携帯電話で“音を聞きやすい仕組み”は必要になる。音楽・映像という日本市場らしい用途の出現にキャリアの食指がようやく動き、端末メーカーがBluetoothへの対応をしやすくなった。

日本でも「Bluetooth標準搭載」を検討すべき

ノキアが海外市場で発売しているBluetoothヘッドセット各種

 しかし、欧米と比べると、日本のBluetooth機器はラインアップが少なく、認知度は低い。未だメジャーな存在でないのは事実だろう。

 先週、ノキア・ジャパンが包括的な記者説明会を行ったのだが(6月28日の記事参照)、そこには海外市場で発売されているBluetoothヘッドセットが複数、参考展示されていた。ノキアは日本でもBluetoothヘッドセットHS-4Wを発売しているが、展示されていたのはそれよりもさらにバリエーションに富むものだ。ビジネスユーザー向けだけでなく、明らかにコンシューマー向けで、女性が装着しても違和感のないデザインのものもある。

 またノキアでは、Bluetoothを使ったデジタルペン「Nokia Digital Pen SU-1B」を発売するなど、多彩なBluetooth機器を用意している(6月21日の記事参照)。欧米では幅広いセグメントにBluetooth携帯電話が用意されており、関連機器市場が広がっている。

 むろん、欧米と日本では、市場環境に違いがある。しかし本来、Bluetoothは汎用的な使い方ができるものだ。普及の始まりが何であるかは、実は大きな問題ではない。キャリアが「マスニーズの不在」と「端末コストの増加」を口実に、ユーザーの選択肢を極端に絞り込んでいたのが問題なのだ。

 このコラムでも何度か述べたが、Bluetoothの活用と普及促進は、今後さまざまなコンテンツやサービス利用を促す上でメリットになる。音楽・映像は言うに及ばず、通話中のマルチタスク機能の活用、PC連携、TV電話の利用促進にもつながるだろう。キャリアが思いもつかない用途を、ユーザーと周辺機器メーカーが開拓する可能性もある。

 Bluetoothはもはや普遍化した技術だ。日本の携帯電話も、そろそろ標準搭載でいいではないか。そうすることで周辺市場が立ち上がり、新たなコンテンツやサービスが広がる下地にもなるはずだ。キャリア、そしてメーカーが積極姿勢になることに期待したい。

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