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» 2006年10月18日 21時19分 公開

「隙のないモデル」になった903iシリーズ 神尾寿の時事日想:

メガiアプリ、メール機能強化、GPS標準搭載など、903iシリーズは共通仕様が大幅に強化されている。夏野氏が予告していたとおり“隙のない”903iが登場した上で、これからどのような競争が起こるのだろうか。

[神尾寿,ITmedia]

 10月13日、NTTドコモが冬モデル14機種を発表した(10月12日の記事参照)。筆者はこの日、海外出張でロンドンにおり、残念ながら記者会見には参加できなかった。帰国してからプレスキットを読み、改めて詳細を確認した次第だ。

 「903iシリーズは一言でいえば、“隙のない”ものになりますよ」(ドコモ執行役員の夏野剛氏)

 記者会見に先立つ9月後半、筆者はDCMXに関する取材で夏野氏に会う機会があった。その席で903iシリーズについて尋ねたところ、返ってきた答えが「隙のないもの」だった。この言葉はまさに903iシリーズの本質を突いていると言えるだろう。

メールの強化とGPS搭載が最大の注目ポイント

 903iシリーズの見どころは多々あるが、その中でも筆者が注目したのがメール機能の強化とGPSの標準搭載だ(10月16日の記事参照)

 メール機能は、これまでリードしていたデコメ機能の強化だけでなく、他社より見劣りしていたファイル添付容量の機能拡張が行われた。オフィス文書の添付にも標準対応。これまで弱点だった部分をすべてなくした。メールは携帯電話の基本的な機能といえるため、ここを徹底的に強化したことは高く評価できる。

 一方びGPS機能は、これまでドコモは消極的だったのに対し、auが大きくリードしていた分野だ。しかし、903iシリーズではGPSが標準機能となり、ナビタイムジャパンもしくはゼンリンデータコムのナビゲーションサービスもプリインストールされた。auの「EZナビウォーク」と比較すれば機能面でまだキャッチアップしきれていない部分もあるが、一方でトルカ連携などドコモだけの注目ポイントもある。これは渡英中にも感じたのだが、GPS活用サービスは世界的に見ても、今後の携帯電話にとって重要な基本機能になる。そこにドコモが本格参入し、その分野のサービス競争が活発化するのは歓迎すべき傾向だ。

着実に進化したおサイフケータイとiアプリ

 新バージョンのモバイルFeliCaチップを採用し、おサイフケータイ機能が大幅に機能向上したのも特筆すべきところだ。特に筆者が評価しているのが「トルカ」の使いやすさ向上である(10月16日の記事参照)。トルカはおサイフケータイを使ったCRMの可能性を広げるものであり、様々なFeliCa決済に「決済+α」の付加価値を与えられるものだ(2005年11月7日の記事参照)。今回、トルカの実用性が増したことにより、その活用範囲は大きく広がった。今後の普及に期待できるだろう。また、機種変更のサポートをケアする「iCお引っ越しサービス」はユーザーの立場からすれば当然の改善だが、それを率先して行った点は評価できる。トルカとiCお引っ越しサービスに関しては、auやソフトバンクモバイルも早急にキャッチアップしてほしいと思う。

 一方、メガiアプリ(9月15日の記事参照)はゲームでの活用が中心にアピールされたが、容量や処理能力の向上は実用系のアプリケーションの高機能化にも効果がある。特に今後、GPSやFeliCaを活用したアプリや、ネットサービスと連携したアプリが増えることを鑑みると、メガiアプリによる機能拡張も見逃せない部分と言えるだろう。

703iシリーズの機能“底上げ”もあるか?

 903iシリーズはこれまでauに負けていた部分をすべてなくし、その上でドコモだけの機能やサービスを追加した。MNP開始前の序盤戦である9月中に発表できなかったのはドコモにとって痛手であるが、十分に巻き返しが狙えるだけの競争力を持っている。まさに「攻めるドコモ」(10月13日の記事参照)を体現する端末・サービス群と言えるだろう。

 また、MNP競争全体で見ると、次に登場する703iシリーズの内容も気になるところだ。MNPの戦いで天王山となるのは、多くのユーザーが年間契約の更新月を迎える来年の春商戦だが、ここではハイエンドモデルの90xシリーズだけでなく、スタンダードモデルの70xシリーズも重要な商品になるからだ。

 13日の記者会見では、703iシリーズの“チラ見せ”で薄さがアピールされたようだが(10月12日の記事参照)、今回の903iシリーズで底上げされた諸機能・サービスがどれだけ搭載されるかも重要になる。auとの競争を考えれば、今回のメール機能強化とGPS搭載などは、703iシリーズでも全機種でサポートする必要があるだろう。また、おサイフケータイ機能も、そろそろ703iシリーズで全機種対応してほしいところだ。

 通信インフラやサービスの先進性でいえば、auが未だ若干のリードをしている。しかし、auとドコモの機能・サービスの差は大きく縮まり、1〜2年前のようにユーザーの目からも明らかなほどではなくなった。3Gエリアの差も、もはやほとんどない。“隙のなくなったドコモ”と、どう戦うのか。挑戦者auの、次の一手にも注目である。

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