MNP前後のコンテンツ利用はこう変わった──KDDI竹之内剛氏mobidec 2006(3/3 ページ)

» 2006年12月01日 22時06分 公開
[青山祐介,ITmedia]
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ユーザー行動の変化に対応するGoogleの導入

 これまでケータイコンテンツを利用する時には、まずポータルサイトへの接続が基本だった。それが今後は、普段の生活シーンや周辺情報・他メディアへの接触までもがトリガーになるとKDDIでは考えている。

 「今まではポータルに行って、そこにどんなものがあるかということで利用者は回遊していた。これからは即、購入という動きになっていく」(竹之内氏)。

 KDDIはGoogleと組むなど、“検索”を重視している(5月18日の記事参照)。最近ではテレビやPCを見ながら、新聞や雑誌を見ながら、さらには利用者同士の口コミ情報をもとにコンテンツを選んでいくというユーザー動向が見られる。それをポータルサイトから探していくのは非常に困難であり、検索という行動が中心になっている。

 「テレビを見ながらケータイをいじる。テレビの中に何かキーワードがあれば、即、携帯電話で次のアクションに行くというユーザーの姿が現れている。生活の中になる行動をトリガーという取り方をして、即コンテンツやECの物販につなげていく、という導線を作っていこうとKDDIでは考えている」(竹之内氏)。

 こうしたユーザーの動きを顕著に示しているのが、竹之内氏が提示した時刻と検索数のグラフ。某人気テレビドラマでドラマを放送した日だけ、番組終了直後に番組関連キーワードでの検索数が突出して急増していることを示すグラフだった。

 「テレビを見ながら手元のケータイですぐに検索という形に利用スタイルは確実に変わってきていると実感している。今は直接番組と連動していくというものは少ないが、今後はこういった番組連動型のコンテンツのプレゼントや、CDやファッション系のものは、どんどん携帯電話で購入していくという時代がくると考えている」(竹之内氏)。

PhotoPhoto KDDIは、コンテンツ利用のトリガーがキャリアのポータルサイトから検索結果に移行すると考える。テレビや雑誌などから得た情報を携帯で検索し、情報やコンテンツにアクセスするという行動を想定している。実際、テレビで告知などを行うと、その直後に検索数が急増する現象はよく見られるという

 Googleと協力してEZウェブのトップページにGoogleの検索窓を設けた理由を竹之内氏は以下のように説明する。

 「EZウェブでは権利保護を施し、“価値あるコンテンツを、価値を持ってお届けする”というのが公式コンテンツの考え方。一方、PC向けサイトはオープンインターネットということで他社に先駆けて推進している。PC向けの情報系サイトはPCによってタダで見られるため、やはり利用者のニーズが強い。そこで、ダウンロード型コンテンツを軸に、EZウェブのコンテンツビジネスをさらに拡大していく。それに対して、利用者の接触時間をさらに拡大するという目的で、こちらはPCのサイトビューアで広告ビジネスの方向に振っていく。このように二極化していくと考えている」(竹之内氏)。

 事実、Google検索の導入後、EZポータルからの検索が導入前の約2.5倍に増加している。他社の検索サイトの利用者を取り込んでいて、EZウェブのポータルサイトの集客力向上に寄与している。検索の増加に伴い、アドワーズなどの収入が拡大している。

 ただGoogleの検索では一般サイトも表示されるため、必ずしもEZウェブのサイト利用の向上につながらないのでは、という懸念もある。Google検索後の遷移先を調べると、EZwebオススメや公式サイトは、一般サイトの47%に対して22%となっているが、Google導入後、公式サイトの方が増加傾向にあるという。今後は公式コンテンツにおいてもPCサイトと同様にSEO対策が必要になってくる。

PhotoPhoto Googleの検索窓をEZwebのトップに配置したところ、検索件数は約2.5倍に増加したという。さらに検索連動広告による収入も増えた。検索の結果には公式サイト以外のサイトも広く含まれ、一般サイトやPCサイトへのアクセスも多い。ただ、公式サイトへのアクセス数も増加傾向にある

 「今後はコンテンツとECの横串連携を図って行きたい。本、ゲーム、音楽といったジャンルごとにいろいろな情報を提供して、購買行動への誘導を図っていきたい。検索、特集、新刊情報、ランキングといったところから“知る”、そこから例えば本を買う場合はauブックスへ、読書が望みならEZブックへ誘導するといったように、コンテンツと物品の購入を提案していきたい。各コンテンツを連携させるか、さらにそれを物販に連携させるか、ということをKDDIでも展開していきたいと考えている」(竹之内氏)

Photo 今後は本やゲーム、音楽など、ジャンルごとに購買行動に誘導するあらゆる情報を提供し、コンテンツとECの横串連携を図る
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