「Yahoo!ケータイ導入はCPにもプラスの効果」──ソフトバンクモバイル河野真太郎氏mobidec 2006

» 2006年12月01日 14時03分 公開
[園部修,ITmedia]

 10月1日から社名がソフトバンクモバイルに変わり、ポータルサイトも「Yahoo!ケータイ」へと衣替えした旧ボーダフォン。11月30日に開催されたmobidec 2006では、ボーダフォン時代からコンテンツ戦略に深く関わってきた、ソフトバンクモバイルのモバイルメディアコンテンツ統括部長、河野真太郎氏が、ソフトバンクの考えるモバイルコンテンツ戦略について説明した。

「CPのみなさまに顔向けできなくなるのではないかと夜も眠れなかった」

Photo ソフトバンクモバイルモバイルメディアコンテンツ統括部長の河野真太郎氏

 10月1日にポータルサイトをYahoo!ケータイに変更して以来、ソフトバンクモバイルの端末では、PC向けのYahoo!JAPANで提供されているコンテンツが無料で利用できるようになった。孫正義社長は9月28日の秋冬モデルの発表会で「これからはPCと同様にあらゆる情報が無料で入手できるようになる。iモードやEZwebのビジネスモデルは根底から覆る」と発言しており(9月28日の記事参照)、ソフトバンクモバイルにコンテンツを提供してきたコンテンツプロバイダー(CP)の中には不安を覚えたところも少なからずあったと思われる。しかし「実は予想していたほど大きなコンテンツ売上げ額の減少はなかった」と河野氏は話す。

 「旧ボーダフォンチームとしては、Yahoo!ケータイの導入が決まったとき、CPのみなさまに顔向けできなくなるのではないかと夜も眠れなかったが、結果的にはそんなことはなかった。乗り換え検索や天気予報といった、Yahoo!ケータイ上で無料で提供するようになった情報だけを見れば、確かにCPの売上げ減につながっているが、そのほかのコンテンツの売上げはむしろ9月よりも増えた」(河野氏)

 その理由として同氏は、ポータルであるYahoo!ケータイへのアクセス自体が大幅に増えていることを挙げた。Yahoo!ケータイには、一番少ない日でも対前月比で約3割、多い日は対前月比数倍のアクセスがあるという。その結果、公式サイトなどへのアクセスも増え、コンテンツ売上高が増加している。

コンテンツプロバイダーとのビジネスはさらに広げていく

 河野氏は「ソフトバンクモバイルが、携帯のサービスにPC上のサービスを融合しようと考えているのは事実」と、ソフトバンクグループが力を合わせて今後の携帯サービスを充実させていく方向性は認めた。また社内では孫社長から「今日やれ」「明日返事をしろ」とはっぱをかけられ、今までよりずっと速いスピード感覚と“とんでもないスケジュール”で新たなサービスの開発を進めているという。

 しかし、Yahoo!JAPANのように、広告モデルを導入してすべての情報を無料にしていくのかというと、そうではない。河野氏は将来的に、CPによる課金モデルは充実させていきたい考えを明らかにした。

 「CPさんとのビジネスはもっと広げていけないかと考えている。今まであった制限の枠組みが変わってくるので、おそらく従来はできなかったことも可能になる。CPさんがキャリアの一部のサービスを取り入れて、CPさんの中でアレンジしたサービスなども提供できればいいのではないか。CPさんがいろいろなビジネスを展開できるようにしたい」と河野氏は話す。このほか、「課金しないモデルでのコンテンツ配信という可能性もある」とし、ネットならではのいろいろなビジネスモデルを柔軟に取り入れてい期待という意向を示した。

 ポータルがYahoo!ケータイに変わり、検索窓が設置されて、ユーザーが思い思いの言葉で検索できるようになったことから、公式コンテンツへのアクセスが減ると懸念する声がある点については、「まだまだ公式コンテンツを望むユーザーは多い。特に日本では安心できるサービスが求められる傾向が強く、すべてを勝手サイトでもまかなえるとも思わない」と河野氏。

 検索は、ユーザーの行動がPCとは大きく異なっており、本当に便利に使えているのか、いいサービスとは何なのかをしっかり見極める必要があると河野氏は話す。PCの場合、キーが打ちやすいため複数の単語を入力して候補を絞ることができるが、携帯の場合は1語で検索するユーザーが圧倒的に多いからだ。

 例えば「ソフトバンク」と入力して検索すると、「ソフトバンク」だけでなく、「ソフトバンクモバイル」「ソフトバンクホークス」などさまざまな結果が出てくる。ユーザーが本当に知りたい情報に手短かにアクセスするためには「ソフトバンク 野球」「ソフトバンク 株価」などと入れた方が効率がいいが、携帯で2語以上入力して検索する人は少ない。

 「携帯電話のユーザーは、キャリアに対してより高いクオリティや安全性を求めており、その対価として、いくばくかの利用料をいただいている。PC上でのサービスをそのまま持ってくるだけですむというものではないはずだ」(河野氏)

 また、いまだにYahoo!ケータイのトップ画面で一番多くクリックされているのはボーダフォン時代の「メニューリスト」が表示されるスピーチマークであることも明かした。「従来のインタフェースに慣れており、それを引き続き使っていらっしゃるユーザーさんはまだ多い。Yahoo!ケータイへの移行はゆっくり進んでいくのではないかと思う」(河野氏)

 河野氏は今後も、例えばYahoo!ケータイのポータル画面にある「おすすめ」で公式コンテンツのリコメンドをしたり、検索結果から公式コンテンツへの導線を用意したりして、CPとの関係は強化していきたいと話した。

 「我々の務めは、Yahoo!ケータイをお客様にもっと使いやすいものにして、ポータルだけじゃなく(CPなどの)携帯の画面を見ていただくようにすること。お客様にいろいろなサービスを使っていただくために、よりリッチなサービスを届けられればと考えている」(河野氏)

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