世界を変える5G

楽天モバイル、1000万回線突破も残る「通信品質」の課題 5G SAの早期導入とKDDIローミング再延長が焦点に石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2026年02月07日 11時43分 公開
[石野純也ITmedia]

 2025年12月に、大台となる1000万契約を突破した楽天モバイル。新たな目標として、楽天グループの代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が掲げたのが、「早期に2000万」という数値だ。順調に契約者数を伸ばす楽天モバイルだが、ネットワーク面では課題も残されている。4Gで保有するのは1.7GHz帯の20MHzとプラチナバンドの3MHz幅のみと限定されていることもあり、バランスが取れていないスポットも増えている。

楽天モバイル 楽天市場出展社向けの楽天新春カンファレンスで、契約者数を早期に2000万まで引き上げたいと語った三木谷氏

 また、時限的な措置としてKDDIと結んでいたローミング協定が、2026年9月に終了を迎える。契約延長をするかどうかは未知数だが、仮に全てが打ち切られると、エリアの縮小を余儀なくされる恐れもある。通信品質とエリアという2つの課題に、楽天モバイルはどう取り組んでいくのか。2月2日に開催された発表会では、楽天モバイルの代表取締役社長、矢澤俊介氏がその戦略を語った。

楽天モバイル ユーザー増加に伴い、品質向上の対策も余儀なくされている

トラフィック増加で一部エリアの品質が低下、対応を急ぐ楽天モバイル

 ユーザー数が急増した楽天モバイルだが、料金プランで“無制限”を打ち出していることもあり、ユーザーの利用するデータ量も多い。動画サービスのU-NEXTがセットになった「Rakuten最強U-NEXT」も「大変ご好評をいただいている」(矢澤氏)といい、こうしたサービスもトラフィックを押し上げる要因になる。実際、矢澤氏もユーザーの「行動変容があった」といい、動画を流し見している層が増加していると話す。

楽天モバイル ユーザー数の拡大に加え、ユーザーの行動が変化し、トラフィックが増加しているとした矢澤氏

 その一方で、都市部の駅や繁華街など、人が密集する場所では速度の低下が顕著になってきているのも事実だ。Opensignalをはじめとする第三者機関の調査もそれを裏づけており、ダウンロード速度や遅延などの指標では、他社の後塵を拝している。また、首都圏の地下鉄をはじめ、一部のエリアでは4Gの20MHz幅を全て使いきれていないことで速度が大きく低下している。

楽天モバイル 繁華街や地下鉄など、一部で不満の声も大きくなっている

 こうした中、楽天モバイルは「通勤通学の時間帯にしっかりデータを流して動画を見ていけるような対応をする努力をしている」(同)という。カギになるのが、帯域幅の広い5Gだ。まず、東京都では速度低下が目立っていた山手線の駅に5Gを導入。この対策が「3月をめどに、主要な駅はほぼ完了する」という。

楽天モバイル 東京都内では5Gの基地局を増設
楽天モバイル 山手線の主要駅18駅では、25年12月に5G対応が完了しているという。ただし、東京駅や渋谷駅、池袋駅など、大規模なターミナル駅が含まれていないのは気になった

 また、「東京ドーム」「Kアリーナ横浜」などのスタジアムや「ヨドバシAKIBAビル」などのメジャーな商業施設でもネットワークの容量拡大を強化。大規模な施設での通信品質低下にも、対策を施している。

楽天モバイル 主要な商業施設での対策も行っている

 より声が多かったのが、地下鉄の駅間。こちらは物理的に周波数が5MHz幅と少なく、ユーザーのトラフィックを収容しきれていなかった。駅間については、徐々に20MHz化を進めており、「対応が完了すると、4倍のトラフィックを吸収できるようになる」(同)。首都圏では、東京メトロや都営地下鉄だけでなく、私鉄も「小田急線は成城学園前や下北沢が地下になっているので、全て対応している」という。地下鉄は、大阪メトロや名古屋市営地下鉄も対象だ。

 地下鉄の対応は、7月には完了する予定だ。東京メトロに関しては、3月末をめどに改善すると発表しており、対応が遅れたようにも見えたが、矢澤氏によると実態は逆で、「元々3月末で8割強を対応する発表だったが、前倒しで95%が3月末に完了する」という。残り5%のエリアを、7月までに対応していく形だ。

楽天モバイル
楽天モバイル 東京での地下鉄駅間の対策は、7月までに完了する。帯域幅が4倍に増えるため、パケ詰まりは解消される見通しだ
楽天モバイル
楽天モバイル 大阪、名古屋、札幌、福岡でも対策は進めている。ただし、大阪メトロは100%になるのが27年12月、名古屋市営地下鉄と福岡市営地下鉄は27年4月と、まだ1年以上時間がかかるようだ
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