「iPhoneの調子が悪いです」
1月末、SNSにおいて、インターフォンやナースコールの製造販売を手掛ける「アイホン」の公式サイト内にある、よくあるご質問のページが大きな注目を集めた。
それが、冒頭の問い合わせだ。本来ならアイホンの製品とは無関係のはずだが、なぜ?
これに対してアイホン側は、自社がインターフォン専業メーカーであることを示した上で、Appleや販売店へ問い合わせるよう回答している。この、一見すると場違いとも思えるやりとりが、多くの利用者の目にとまり、さまざまな意見が交わされた。
SNSでは、「笑ってしまった」「今までのFAQの中で一番好き」といった声が相次いだ。「真摯(しんし)に答えていて好感が持てる」といった好意的な声もあった。「お問合せはApple(アップル)社様もしくは販売店様にお願いします」という一文まで添えられていることから、実際に同様の問い合わせが頻繁に寄せられている可能性があると推察できる。
なぜインターフォンメーカーのサイトにiPhoneが登場するのか。その理由は、日本国内における商標権の所在に深く関わっている。一般に「iPhone」として知られる製品の名称は、日本ではアイホンが先に商標登録を行っていたため、Appleは日本進出に際し、商標権の問題に直面することとなった。
例えば、カプコンの「バイオハザード」が海外では「Resident Evil」という名称で展開されていたり、周辺機器メーカーの「Logitech」が日本では「ロジクール」という名で進出したりしている例と似ている。Appleにも、商標上の問題から、日本ではiPhoneの名称を変更するという選択肢があった。
しかし、Appleは名称の変更ではなく、アイホンから商標のライセンスを受ける道を選んだ。この契約に基づき、Appleは多額の商標使用料を毎年支払っているとされる。アイホンが商標の権利を保持し、それをAppleが借り受けるという関係が成立しているからこそ、両者の間には法的なつながりが存在する。つまり、アイホンのサイトでiPhoneの名を目にすることは、誤解の解消にとどまらない意味があるといえる。
この商標上の理由から、日本でのiPhoneの呼び方にも影響を与えた。Appleの製品紹介やテレビCMでは、「アイホン」とは呼ばず「アイフォーン」と語尾を伸ばして発音している。
発音だけでなく文字表記も、公式には「アイフォーン」が正しい記載となる。例えば、KDDIは法人向けサイトにおける用字用語表記のページにおいて、iPhoneの読み方をアイフォーンと紹介。そのすぐ下に正式名称のiPhoneを記載している。
実は発音だけでなく、公式サイトやキャリアの広報資料でも「アイフォーン」と表記される。KDDIの法人向けサイトでも、長音を含むこの表記が正式な読み方として明記されている(赤線部分)出典:KDDIの法人向けサイトiPhoneを取り扱うキャリアやその関連サイトには、必ずアイホンのライセンスに基づき使用されている旨の注釈が添えられている。「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています」という文言がそれだ。NTTドコモやKDDIといった通信事業者のサイトでも、この権利関係を示す一文を確認できる。
ソフトバンクの法人向けサイトにも「商標について」という項目があり、「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています」と表記されている(赤線部分)出典:ソフトバンクの法人向けサイトこのように、Appleとアイホンは全くの別会社ではあるが、商標によるつながりがある。一方、「Appleから莫大(ばくだい)なライセンス料もらっているのだから、これくらいはするよね」という声もある。アイホンが自社のFAQで他社製品について言及することは、権利者としての立場を明確にするとともに、ライセンス料を得ていることの責務とも解釈できる。
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