Appleが9月10日(日本時間)に発表した「iPhone 17 Pro」「iPhone 17 Pro Max」のアウトカメラについて、日本語の表現が誤解を招きかねないのではないか? との指摘がX(旧Twitter)上で相次いでいる。
問題となっているのは、Apple(日本法人)が発出したニュースリリースの記述だ。日本語版では「メイン、超広角、そしてまったく新しい望遠の3つの48MP Fusionカメラが、iPhone史上最長となる8倍光学ズームなど8種類のレンズに相当する性能を提供し、革新的な18MPセンターフレームフロントカメラがセルフィーを次のレベルへと引き上げます」としている。
一方、英語版の製品ページでは「8x optical-quality zoom」と表現されており、「optical-quality=光学品質」というニュアンスが含まれる。本来であれば「光学8倍相当の品質」と訳すべきところを「光学8倍」としてしまうと、あたかも本当に光学ズームで8倍まで撮影できるかのような誤解を招く可能性がある。
実際の仕組みは、48メガピクセル(4800万画素)から切り出しの処理を行うことで、この4倍をさらに2倍拡大でき、より高画質な状態を保ったまま8倍相当で撮影できるというものだ。切り出し処理を伴うため、ピクセルピッチは当然低下する。従って、「光学8倍」と断定するのは不適切であり、あくまで「光学品質に相当する8倍ズーム」と表現する方が妥当だろう。
米国と日本で公式サイトの表現が食い違う今回のケースは、消費者に誤認を与える「優良誤認」に発展しかねないとの懸念もある。
消費者庁の「優良誤認」の解説ページでは、景品表示法第5条第1号について「事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの (2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)」と説明している。
この観点から見ると、日本語版サイトで「光学8倍」と表現されている今回のケースは、実際には「光学品質に相当する8倍ズーム」であるにもかかわらず、一般消費者に「本当に光学ズームで8倍まで可能」と誤認させるおそれがある。とりわけ、英語版で「optical-quality」と明示しているにもかかわらず、日本語版で「光学」という言葉だけを強調してしまう点は、消費者庁が指摘する「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」に該当する可能性がある。
なお、競合する「Google Pixel 10 Pro」の公式サイトでは「Google Pixel 10 Pro のアップグレードされた5倍望遠レンズは Google Pixel 史上最長のズーム撮影距離を最高画質で撮影できます。最大100倍の超解像ズームProと10倍の光学相当画質により、信じられないほど鮮明なアップ画像が撮影できます」と記されており、英語の原文から乖離しない形で「光学相当」と明記している。
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