1月6日から7日にかけて、iPhoneのシステム時刻(日付と時刻)を未来に変更することで、ストレージの空き容量を劇的に増やすという手法がSNSで注目を集めた。しかし、これを実行したユーザーから「端末が起動しなくなった(文鎮化)」「操作不能になった」という深刻なトラブル報告が相次いでいる。
iPhoneの使い方については、日頃からSNSやYouTubeに裏技を紹介する記事や動画が出回っているが、内容によってはNG行為に該当する。今回のケースでいえば、「システムデータが肥大化して容量が足りない」という悩みを一気に解消したい心理から、サクッと試したくなる衝動に駆られてしまうのは分かるが、この手法にはデバイスを修復不能にする致命的なリスクが潜んでいる。
今回、SNSで拡散された手法の具体的な内容は、iOSの「日付と時刻」を2030年などの未来に手動で進め、OS側に「蓄積されたキャッシュ(システムデータ)は全て期限切れである」と誤認させて自動削除を促すというものだ。実際に「数十GB単位で空き容量が増えた」という成功例が拡散されたことで、ストレージ不足に悩むユーザーの間で話題となった。
しかし、iPhoneにとって「日時」は単なる時計ではない。iCloudの同期、セキュリティ認証、サーバ証明書、バックグラウンド処理など、iOSの根幹を支えるあらゆる機能が「正しい日時」を前提に動作している。例えば、誤った日時をあえて設定した後、Safariへアクセスすると、セキュリティ面からWebサイトを閲覧できなくなる。
つまり、日時を無理やり操作することは、OSの整合性チェックを無視する行為であり、以下のようなリスクを伴う。
リンゴループに陥ったiPhoneは、Appleロゴが表示されては消える動作を繰り返す。ロック画面やホーム画面には一切たどり着けず、端末が完全に操作不能となる。まさに「地獄」と呼ぶべき、極めて深刻な状態だこうなると、端末を工場出荷状態に初期化するしか道はなく、バックアップを取っていなければiPhone内に保存した全てのデータが失われることになる。
リスクを冒して「裏技」に頼る前に、Appleが推奨する正規の手順で容量を確保すべきだ。
また、日頃からiCloudやWindows/Macを利用して、定期的にバックアップを取っておく習慣が、万が一の際の唯一の救いとなる。
既に実行してトラブルに見舞われている場合は、以下の手順を試してほしい。
iPhone 8以降では、音量を上げる・下げるボタンを順に素早く押し、最後にサイドボタンをロゴが出るまで長押しすることで強制再起動が行える出典:iPhoneを強制的に再起動する - Appleサポート
強制再起動で改善しない場合、PCやMacに接続しリカバリーモードで修復を試みる。システム異常を解消するため、外部機器を介した復旧作業が不可欠だ出典:iPhoneやiPadをアップデートまたは復元できない場合 - Appleサポートなお、Windows環境では、Microsoft Store版のアプリではなく、従来の「インストーラー版iTunes」を使用することで復元に成功したという報告もある。
「空き容量が増えた」という成功体験はバズりやすいが、その裏にある失敗した時のコスト(端末の故障・データの全喪失)があまりにも大きすぎる。
この「裏技」は決して試さないでほしい。また、正しい知識を持たない人が情報の断片だけを見て被害に遭わないよう、SNSや掲示板などでこの手法を拡散する行為も厳に慎むべきだ。大切なデータを守るために、常に正規で安全な方法を選択してほしい。
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