楽天グループは、11月13日に第3四半期(7月〜9月)の決算を発表した。年内の1000万契約突破を目指す楽天モバイルが、どこまで伸びているかが焦点の1つだ。同時に、EBIDA通期黒字化を目指す楽天モバイルのARPU(1ユーザーあたりの平均収入)がどこまで伸びてきたのかも注目しておきたいポイントだ。10月には、ARPUを向上させる一助になる新料金プランの「Rakuten最強U-NEXT」もスタートした。
一方で、KDDIと結んだローミング協定のタイムリミットまで1年を切った。その後のエリアをどう補っていくかは未知数だ。また、東京など、一部の人口密集地域では通信品質の低下も課題になっており、目下、改善にも取り組んでいる。決算には、設備投資という形でそれが表れる。ここでは、楽天グループの決算を元にしながら、同社の“今の実力”を読み解いていきたい。
年内のEBITDA黒字化の目標を掲げる楽天モバイルだが、第3四半期の業績は、これまで以上に好調だったと総括できる。楽天モバイルの売上高は950億円、基地局建設などの減価償却費を加えたEBITDAは80億円と黒字で着地している。EBITDAは、第1四半期が0円、第2四半期が60億円と徐々に拡大しており、このペースが続けば目標は達成できる。大幅な獲得コスト増加などがなければ、ほぼ達成は確実といえそうだ。
売上高の拡大を支えたのが、回線数の伸びとARPUの上昇だ。契約数は第3四半期末の9月30日時点で933万に到達、11月7日時点では950万契約に届いている。楽天グループの会長兼社長、三木谷浩史氏によると、「7月から9月は通常だと閑散期だが、楽天カードとのコラボ施策が引き続き好調」で、第3四半期だけで40万5000回線の純増を記録した。
純増数の中でも比率が高かったのが、他社からの転入であるMNP純増数だ。第3四半期には、この数字が9万5000回線まで拡大。第1四半期の3万8000回線、第2四半期の5万6000回線を上回っている。大きな要因として考えられるのが、他社の料金プラン改定だ。中でも、ドコモは前回の連載でも言及したように、irumoの廃止などによって第2四半期(7月から9月)は契約者全体が純減している。その一部が、料金の安い楽天モバイルに移ったという見方ができる。
メイン回線として楽天モバイルを利用する可能性が高いMNPが増えたことで、ARPUも拡大した。データARPUは1781円、音声ARPUは92円まで増加しており、これも売上高や利益増に貢献している。実際、コンシューマーのデータ利用量は継続的に増加しており、第2四半期までは30GB台で停滞していた数値が、第3四半期には33.5GBと一気に増加している。
楽天モバイルのRakuten最強プランは、データ利用量に応じた段階制を採用しているため、この平均値とARPUの上昇は連動しやすい。各種指標を見ると、ユーザー数を増やしながらARPUを上げていくという、キャリアにとって王道を進んでいることが分かる。
また、法人事業も拡大しており、9月末時点での契約社数は2万3281社まで増加した。法人契約は、「年末に向けてパイプライン(潜在的な契約)が積み上がっている」(同)といい、これを契約に変えていくことが契約者数増加に寄与することになる。黒字化と並んで掲げられていた年度末の1000万回線達成にリーチがかかった格好だ。
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