楽天モバイルが“値上げできない”理由 低価格と相反するネットワーク改善では難しいかじ取りも:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2025年10月04日 10時11分 公開
[石野純也,ITmedia]

 大手3キャリアが相次いで料金を改定し、事実上の値上げに踏み切る中、楽天モバイルはあえて記者会見まで開催し、代表取締役会長の三木谷浩史氏が「価格据え置き」を宣言した。10月1日に開始された「Rakuten最強U-NEXT」やそのキャンペーンの発表に合わせた形だが、既存のRakuten最強プランは低価格なままであることをうたい、差別化を図った格好だ。

 一方で、物価や人件費の上昇に加え、円安の影響は楽天モバイルにも直撃している。他社が値上げに踏み切る状況の中、なぜ同社は価格を維持できたのか。三木谷氏によると、その理由は3つあるという。また、キャリア4社の競争環境を踏まえると、同社には値上げに舵を切れない事情もありそうだ。同社が他社とは異なる方針を打ち出す背景を読み解いていく。

楽天モバイル 楽天モバイルは、9月30日に記者会見を開催。改めて、Rakuten最強プランの価格を維持していくことを強調した

低価格で構築したネットワーク、そのカギになる完全仮想化

 「今日は楽天モバイルも値上げするという発表……ではなく、低価格、無制限は継続する」――こう語ったのは、楽天モバイルの三木谷氏。物価高や為替高、人手不足といった日本経済を取り巻く一連の状況を説明し、「すわ、値上げか」と思わせた後の価格据え置き宣言だっただけに、参加した記者は盛大な肩透かしを食らったように感じたはずだ。筆者自身も、一瞬だまされかけてしまった。

楽天モバイル
楽天モバイル 物価高の経済状況や他社の値上げの要因を示した楽天モバイル。ここで、同社も追随すると思いきや……

 三木谷氏は、改めて3278円でデータ通信が使い放題になることに加え、海外ローミングの2GB無料や、Rakuten Linkによる通話無料になるRakuten最強プランの特典をアピールした。データ容量を絞った料金プランだと他社にも安いものはあるが、無制限かつ海外ローミングや音声通話までという条件だと、確かに楽天モバイルは群を抜いて安い。

楽天モバイル 「低価格、無制限は継続する」と宣言した三木谷氏

 とはいえ、冒頭で挙げたように物価が上がっているのも事実だ。三木谷氏によると、特に「大きなところでは電気料金が上がっていたり、極端な円安が進んで(海外から購入する基地局などの)調達コストも上昇したりしている」という。キャリアが常時通信をするには、基地局に通電していなければならない。電気料金の高騰は、運用コストに直結する。実際、他キャリアも大きなコストとして電気代を挙げていたほどだ。

 また、基地局などのネットワーク機器を海外から調達していた場合、円安はコスト高に直結する。日本メーカー製だとしても、中で使われている部品や材料を海外から買っていれば、最終的には製品価格に転嫁される。三木谷氏が「サステナブルに健全経営をしなければならない」と語るように、利益は出さなければならない。特に同社は、2025年に通期で黒字化できるかどうかの正念場にある。本来であれば、他社以上に値上げに踏み切りたいはずだ。

 では、なぜ同社は低価格を維持すると宣言できるのか。三木谷氏は、1つ目として同社が完全仮想化ネットワークで、かつOpen RANに対応していることを挙げつつ、次のように語る。

 「楽天モバイルのネットワークだけは、世界で唯一完全仮想化していて、基地局の機器の部分もソフトウェア、とりわけOpen RANのソフトウェアで運用している。それプラス、最近大きく出てきたAIも活用している。設備投資は一般的な比較で大体40%、事業の運営費も大体30%ぐらい削減できている」

楽天モバイル
楽天モバイル 完全仮想化ネットワークで設備投資や運用コストを抑えているのが、料金が安い理由だという
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月05日 更新
  1. ドコモがほぼ全ての料金プランを値上げ それよりも端末の値上げが気になるこの頃 (2026年10月03日)
  2. KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり (2026年10月03日)
  3. 高市首相がAppleに要請――「自殺防止機能の搭載を」 生成AIへの相談増加を受け (2026年10月03日)
  4. ドコモがRCSで同意未取得の不備 約1万6000件に影響、対象ユーザーは利用停止に (2026年10月04日)
  5. ahamoがついに料金プランを改定。段階制へ――「40GB」が業界の新たなスタンダードになるのか (2026年10月04日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. あなたの街の「スマホ決済」キャンペーンまとめ【2026年10月版】〜PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ (2026年10月03日)
  8. 「Androidのマイナンバーカード」は10月20日スタート予定 今の「スマホ用電子証明書」と何が違う? (2026年10月02日)
  9. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【10月4日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年10月04日)
  10. 免許証画像が漏れると何が“ヤバい”のか タイムズカーで最大約660万件の個人情報漏えいで考えられる「3つのリスク」 (2026年09月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー