楽天モバイルがU-NEXTと協業し、新料金プラン「Rakuten最強U-NEXT」を2025年10月から提供する。この料金プランは、楽天モバイルのデータ通信使い放題と、U-NEXTのエンタメサービスをセットにしたもの。月額料金は4378円(税込み)で、家族割引を適用すると月額4268円に割り引かれる。
楽天モバイルは、これまでシンプルな「ワンプラン」を打ち出しており、「Rakuten最強プラン」の提供を続けてきた。このプランは「使わない月は0円」の仕様が廃止された経緯はあるが、楽天モバイルのプランはサービス開始から一貫して1種類にこだわってきた。
そんな中、楽天モバイルでは初となる“2つ目のプラン”として、Rakuten最強U-NEXTを提供する狙いはどこにあるのか。
今回の楽天モバイルとU-NEXTの提携は、さかのぼること23年前、楽天が(U-NEXTと経営統合する前の)USENとコンテンツ事業を展開していたこととも関係している。楽天は2002年に、USENと共同でブロードバンド・コンテンツポータル「ShowTime」を立ち上げたが、当時はADSLが普及し始めた時期で、通信速度は1Mbps程度だった。そのため、当時はインターネットでのコンテンツ視聴が一般的ではなかった。
しかし現在では、楽天モバイルの5G通信速度は数100Mbps程度まで向上している(※エリアによって実効速度は異なる)。楽天モバイルの三木谷浩史会長は、Rakuten最強プランが若年層を中心に高い評価を得ていることに言及。楽天モバイルユーザーの月間平均データ利用量は31.2GBだが、若年層では60〜70GBに達するケースもあるという。
今回の協業で誕生したRakuten最強U-NEXTでは、データ通信を無制限で利用でき、U-NEXTのコンテンツも見放題となる。Rakuten最強プランの月額3278円と、U-NEXTの月額2189円を合わせると月額5467円だが、新プランでは月額4378円で利用可能となり、Rakuten最強プランとU-NEXTを個別に契約するよりも月1089円、年間1万3068円お得になる。
【訂正:2025年6月27日10時30分 初出時、Rakuten最強プランとU-NEXTの合計利用料金に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】
Rakuten最強プランのユーザーは月額1100円をプラスするとU-NEXTのサービスを、U-NEXTのユーザーは月額2189円をプラスすると楽天モバイルの無制限データ通信が利用できることになる。
U-NEXTの宇野康秀会長は、23年前に三木谷会長とShowTimeを立ち上げた当時は、通信環境が整っていないこと、コンテンツが十分そろっていないことが課題だったと振り返る。しかし23年が経過し、現在は「自信を持って楽天さんと組むことができる」と述べた。
U-NEXTは「見放題作品数ナンバーワン」を維持し、32万本以上の見放題作品を提供している。映像コンテンツだけでなく、雑誌200誌以上、児童書1000冊以上が読み放題となる点も特徴だ。また、1つの契約でファミリーアカウントを4つまで作成できるため、家族4人まで同時にコンテンツを楽しめる。現在の有料契約者数は466万人で、ファミリーアカウントを含めると視聴可能ユーザー数は1000万人を超えるという。国内シェアではNetflixに次ぐ2位であり、Netflixとの差を縮めている状況だ。
【訂正:2025年6月24日17時23分 初出時、U-NEXTのシェアについて「Netflix、Amazonプライムに次ぐ第2位」としていましたが、正しくは「Netflixに次ぐ第2位」でした。おわびして訂正いたします。】
ライブ配信にも力を入れており、音楽ライブやスポーツ中継など年間400本以上を配信している。スポーツ分野では、サッカーのプレミアリーグ独占配信、ゴルフのメジャー大会、格闘技、テニス、バレーボール、バスケットボール、卓球などを配信しており、今後はさらに配信範囲を拡大していく予定としている。
宇野氏は、楽天モバイルの通信環境にU-NEXTのコンテンツが加わることで、「月額3880円(※家族割引込みの税別価格)で『いつでもどこでも見放題』が実現し、23年前に目指した世界観がついに到来した」と語った。
三木谷氏は、今回の協業は自身からU-NEXTに提案したと明かした。「ギガが使い放題の楽天モバイルと、圧倒的なコンテンツライブラリーを持つU-NEXTさんとご一緒できて、本当にうれしい」と喜んだ。
宇野氏は、三木谷会長からの提案に対し、「楽天モバイルさんが通信料を抑えることに挑戦している中で、U-NEXTのサービスを最大容量かつ低価格で利用できることは、新たな世界が実現できるのではないかと思い、すぐやらせてください」と快諾したことを明かした。
また、宇野氏は新料金プランについて、ユーザーが通信量を気にせずにどこでもエンターテインメントを楽しめる点が最大の強みだと強調した。U-NEXTのユーザーの中にもデータ通信量を気にしている人がいるが、今回の協業でそうした制約から解放されることで、友人や家族と一緒にスポーツ観戦をするなど、コンテンツの楽しみ方自体が変わる可能性があると述べた。
携帯キャリアがエンタメサービスをバントルする動きが積極化しつつある。直近では、ドコモがDAZNをセットにした料金プラン「ドコモ MAX」の提供を開始した。KDDIも以前からNetflixやAmazonプライムなどをセットにした料金プランを提供している。
楽天モバイルで今後、U-NEXT以外のパートナーと組む可能性について三木谷氏は「検討する予定はない」と否定した。U-NEXTとは「運命共同体として取り組んでいきたい」とし、U-NEXTだけで勝負をかけることを示した。
なお、Rakuten最強U-NEXTには、Rakuten最強プランにある3GBまでと20GBまでの段階制は設けておらず、使い放題一択としている。この理由について三木谷氏は「U-NEXTに加入するユーザーは大量のデータを使用するという認識に基づいている。そのため、データ利用量を気にせず使えるように、無制限の料金設定とした」と述べた。
楽天モバイル、月額4268円からデータ使い放題+U-NEXTがセットの「Rakuten最強U-NEXT」発表
楽天モバイルの料金プランは値上げ? 「現時点で考えていない」と三木谷氏、その理由も語る
楽天モバイルが単月黒字化(EBITDA)を達成できた理由は? 三木谷氏は通期での黒字化に自信
楽天モバイル5周年 今後の値上げやプラン改定は否定、“お試し割”は「検討していきたい」
「Rakuten最強プラン」は本当に最強? 速度とエリアを都心から世界遺産まで徹底テストCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.