楽天モバイルが単月黒字化(EBITDA)を達成できた理由は? 三木谷氏は通期での黒字化に自信(1/2 ページ)

» 2025年02月14日 23時17分 公開
[小山安博ITmedia]

 楽天グループが2月14日、2024年度12月期連結決算を発表した。連結の売上収益は対前年比10%増の2兆2792億3300万円、営業利益は同2658億3200円改善となる529億7500万円で増収増益だった。

楽天グループ 楽天グループの代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏(写真は2024年11月14日撮影)

 楽天モバイルが単月黒字化を達成したことに加え、グループ全体の売り上げが28期連続で増収となった。売り上げの伸びのうちの34.4%が楽天モバイルに起因しており、「楽天モバイルが大きな成長ドライバーの1つになってきている」と三木谷浩史会長は強調する。

楽天モバイルがEBITDAで単月黒字化 ARPUの向上、順調な契約獲得が要因

 売上収益、営業利益だけでなく、Non-GAAP営業利益も同1601億円改善の70億4800万円の黒字となり、2019年度以来、5年ぶりの通期黒字化を達成した。楽天モバイルは2019年からMNOサービスを開始しているが、本格展開となった2020年以降で初めての黒字化となった。

楽天グループ 28期連続の増収となり、売り上げ収益は2.3兆円を突破した
楽天グループ 利上げの増加に楽天モバイルが大きく貢献した

 楽天モバイルの増益に加え、インターネットサービス、フィンテックセグメントのいずれも堅調に成長し、グローバル事業も貢献した。

 懸案のモバイル事業は、2024年12月におけるEBITDA(営業利益に減価償却費や固定資産税を加算したもの)では23億円の単月黒字化を達成。同月は楽天モバイルユーザー向けの「最強感謝祭」を開催したことで、キャンペーン参加者33万人、売り上げが284億円に達したこともあって利益を伸ばした。

楽天グループ 楽天モバイルはまだ赤字だが、順調に拡大していて来期は通期黒字化を目指す
楽天グループ 最強感謝祭が楽天モバイルの利益に貢献

 三木谷氏は、「最強感謝祭で広告収入を始め、かなり売り上げを押し上げた要因なのは事実だが、EBITDAも劇的な改善をしている」と強調。当面は加入数1000万を目標に据えて利益の拡大を図るが、「通期での黒字化は極めて実現可能性が高い」と自信を見せる。

楽天グループ 単月黒字化はこうした取り組みによる一過性のものだけではない、と三木谷氏はアピール

 モバイルセグメントにおける売上収益は同20.9%増の4406億9800万円、営業損失は同1056億3600万円改善の2089億3300万円の損失だった。EBITDAも1199億円の改善となる363億円の損失となった。

楽天グループ 業績は「右肩上がり」と三木谷氏は評価する

 三木谷氏は、売り上げが右肩上がりである点、第4四半期の売り上げが前年同期比38%増の820億円まで拡大している点をアピール。損失幅の改善も続く他、「通信業界のパフォーマンス指標の1つ」(三木谷氏)であるPMCF(マーケティング前キャッシュフロー)が110億円に拡大。「水面から頭を出し、しっかり利益を出せる段階に来た」(同)という。

 単月黒字化は、「単純にコスト削減だけでなく、さまざまなオペレーション効率の改善、ARPUの向上、契約獲得が順調」といった理由があると三木谷氏。さらに楽天グループとのシナジーを高め、広告事業を伸ばしていくことで利益を拡大させたい考えだ。

若年層の楽天モバイルユーザーが劇的に増えている

 2024年末時点での契約数は830万まで拡大。第4四半期の調整後MNO解約率は1.38%、ARPUは2856円となり、MNOサービス売り上げは同40.3%増の465億6100万円まで伸ばした。

楽天グループ その他の指標

 解約率は改善傾向にあり、季節変動がありつつもうまく制御できているとの認識。加えて、楽天グループの他のサービスからの流入が増加しており、前年比で1.3倍となる94万5000回線を獲得した。楽天市場や楽天カードなどからの集客が増え、さらにそうしたユーザーは解約率が低いことから、今後も拡大を目指す。

楽天グループ 解約率は季節変動が大きいもののコントロールできているという認識
楽天グループ 楽天エコシステムからの流入を重視する

 「いい意味でショッキングなデータ」と三木谷氏が紹介したのは、契約者の年代別人口比。特に若い世代が「劇的に増えている」(同)状況で、23〜50歳の契約数が特に多い。スマホやインターネットのヘビーユーザーの利用が多いというのが三木谷氏の分析で、逆に高齢者層と地方が弱い点を課題として挙げる。

楽天グループ 都会・若者の層に強いのが楽天モバイル。それ以外の高齢者などをさらに獲得したい考え

 同日、楽天モバイルは若年層向けの春商戦向けキャンペーンを発表したが、「高齢者、地方への強化を行っていきたい」(同)考えだ。

 ARPU(1ユーザーあたりの月間平均収入)は、特に5G利用の増加でデータ消費が増えており、一部オプションの有料化もあって増加した。特に最強感謝祭は広告収入を押し上げて3000円を突破したことから、今後も定期的に開催していく計画だ。

楽天グループ ARPUにも貢献した感謝祭
楽天グループ 定期的な開催に加え、さまざまな施策でARPU増を狙う
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