楽天グループが2月14日、2024年度12月期連結決算を発表した。連結の売上収益は対前年比10%増の2兆2792億3300万円、営業利益は同2658億3200円改善となる529億7500万円で増収増益だった。
楽天モバイルが単月黒字化を達成したことに加え、グループ全体の売り上げが28期連続で増収となった。売り上げの伸びのうちの34.4%が楽天モバイルに起因しており、「楽天モバイルが大きな成長ドライバーの1つになってきている」と三木谷浩史会長は強調する。
売上収益、営業利益だけでなく、Non-GAAP営業利益も同1601億円改善の70億4800万円の黒字となり、2019年度以来、5年ぶりの通期黒字化を達成した。楽天モバイルは2019年からMNOサービスを開始しているが、本格展開となった2020年以降で初めての黒字化となった。
楽天モバイルの増益に加え、インターネットサービス、フィンテックセグメントのいずれも堅調に成長し、グローバル事業も貢献した。
懸案のモバイル事業は、2024年12月におけるEBITDA(営業利益に減価償却費や固定資産税を加算したもの)では23億円の単月黒字化を達成。同月は楽天モバイルユーザー向けの「最強感謝祭」を開催したことで、キャンペーン参加者33万人、売り上げが284億円に達したこともあって利益を伸ばした。
三木谷氏は、「最強感謝祭で広告収入を始め、かなり売り上げを押し上げた要因なのは事実だが、EBITDAも劇的な改善をしている」と強調。当面は加入数1000万を目標に据えて利益の拡大を図るが、「通期での黒字化は極めて実現可能性が高い」と自信を見せる。
モバイルセグメントにおける売上収益は同20.9%増の4406億9800万円、営業損失は同1056億3600万円改善の2089億3300万円の損失だった。EBITDAも1199億円の改善となる363億円の損失となった。
三木谷氏は、売り上げが右肩上がりである点、第4四半期の売り上げが前年同期比38%増の820億円まで拡大している点をアピール。損失幅の改善も続く他、「通信業界のパフォーマンス指標の1つ」(三木谷氏)であるPMCF(マーケティング前キャッシュフロー)が110億円に拡大。「水面から頭を出し、しっかり利益を出せる段階に来た」(同)という。
単月黒字化は、「単純にコスト削減だけでなく、さまざまなオペレーション効率の改善、ARPUの向上、契約獲得が順調」といった理由があると三木谷氏。さらに楽天グループとのシナジーを高め、広告事業を伸ばしていくことで利益を拡大させたい考えだ。
2024年末時点での契約数は830万まで拡大。第4四半期の調整後MNO解約率は1.38%、ARPUは2856円となり、MNOサービス売り上げは同40.3%増の465億6100万円まで伸ばした。
解約率は改善傾向にあり、季節変動がありつつもうまく制御できているとの認識。加えて、楽天グループの他のサービスからの流入が増加しており、前年比で1.3倍となる94万5000回線を獲得した。楽天市場や楽天カードなどからの集客が増え、さらにそうしたユーザーは解約率が低いことから、今後も拡大を目指す。
「いい意味でショッキングなデータ」と三木谷氏が紹介したのは、契約者の年代別人口比。特に若い世代が「劇的に増えている」(同)状況で、23〜50歳の契約数が特に多い。スマホやインターネットのヘビーユーザーの利用が多いというのが三木谷氏の分析で、逆に高齢者層と地方が弱い点を課題として挙げる。
同日、楽天モバイルは若年層向けの春商戦向けキャンペーンを発表したが、「高齢者、地方への強化を行っていきたい」(同)考えだ。
ARPU(1ユーザーあたりの月間平均収入)は、特に5G利用の増加でデータ消費が増えており、一部オプションの有料化もあって増加した。特に最強感謝祭は広告収入を押し上げて3000円を突破したことから、今後も定期的に開催していく計画だ。
楽天モバイル5周年 今後の値上げやプラン改定は否定、“お試し割”は「検討していきたい」
楽天モバイル、2024年は155万回線増加 MNO契約回線数単独で
楽天モバイルの通信品質が改善したワケ 5Gやプラチナバンドの現状、ネットワーク戦略を竹下副CTOが解説
楽天モバイルが楽天グループの“5年ぶり四半期黒字化”に貢献 モバイル単体の黒字化も目前か
楽天モバイルの赤字幅が縮小、プラチナバンドは前倒しでエリア化 三木谷氏は「若年層の利用増」もアピールCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.