楽天モバイルが楽天グループの“5年ぶり四半期黒字化”に貢献 モバイル単体の黒字化も目前か(1/2 ページ)

» 2024年11月14日 15時44分 公開
[小山安博ITmedia]

 楽天グループは11月13日、2024年度第3四半期の連結決算を発表した。売上収益は前年同期比9.3%増の5667億円、Non-GAAP営業利益は同534億円改善の123億円、IFRS営業利益は550億円改善で50億円の黒字と増収増益。営業利益はそれぞれ2019年第3四半期以来、2020年第2四半期以来の黒字で、同社の三木谷浩史会長兼社長は「業績は好調に推移」と強調する。

5年ぶりの四半期黒字化で業績改善 楽天モバイルは成長フェーズへ

 最大の懸案だった楽天モバイルは投資フェーズから成長フェーズに移行したと三木谷氏は指摘。11月にはMNOとMVNOなどを合わせて全契約回線が812万回線に到達。米国3位のT-Mobileや楽天カードを引き合いに、800万会員到達がそれぞれ1.1倍、1.7倍早い段階で達成したとアピールする。

楽天モバイル 楽天モバイルの会員数は全体で812万回線まで伸張した
楽天モバイル T-Mobileや楽天カードとの比較で、800万回線到達スピードをアピール

 楽天モバイルは単独の契約だけでなく、グループ内のサービス利用の促進剤になっていると三木谷氏。楽天モバイル契約者の取扱高は非契約者よりも多く、楽天市場では47.9%、楽天トラベルでは13.5%、楽天カードで26.8%、それぞれ利用額が大きくなるという。

楽天モバイル 楽天モバイル契約者は、楽天グループのサービス利用が多くなる傾向がある
楽天モバイル 特に長期利用者が多くのサービスを使うようになる

 そうした楽天モバイルによるエコシステムの貢献額を、楽天モバイルや各セグメントの利益などに盛り込んでいるのが、同社決算の特徴でもある。

楽天モバイル こうしたモバイルエコシステムの貢献額を可視化したのが、今回の決算の特徴でもある

 連結の売上収益は第3四半期としては過去最高となる5667億円で、全セグメントが大幅に伸長。特に売上成長の40%が楽天モバイルの貢献で、楽天モバイルがグループ全体の成長のブースターになっていると三木谷氏。

 連結Non-GAAP営業利益は、前期が楽天モバイルの752億円という大幅赤字が影響したが、265億円の改善で赤字幅が487億円まで減少。フィンテックやインターネットのセグメントが50%を超える利益により、大幅に改善した。「MNOの設備投資が本格化した2019年第3四半期以降では初めての四半期黒字」と三木谷氏はアピールする。

楽天モバイル 全体の連結売上収益は5667億円に。特にフィンテックとモバイルセグメントが2桁増になった
楽天モバイル 楽天モバイルの売上成長に加え、グループ売上への貢献が成長を押し上げた

 連結EBITDAもモバイルセグメントの305億円改善、他のセグメントの30%以上の増益が効いて922億円の黒字となった。

楽天モバイル 2019年第3四半期以降では初めての四半期黒字化
楽天モバイル 連結EBITDAもモバイルの大幅な改善で922億円の黒字を達成

楽天エコシステムに貢献する楽天モバイル

 モバイルセグメントの業績は、楽天回線数の増加でMNOサービスの収益が拡大。売上収益は19.5%増の1060億円に達し、Non-GAAP営業利益は265億円の改善で487億円の赤字となった。EBITDAも305億円の改善となる52億円の赤字まで損失額を抑えた。

楽天モバイル 楽天モバイルに加え、楽天シンフォニーが増収貢献するなど、業績は大幅に改善、伸張した

 楽天モバイル単体では、売上収益が30.3%増の730億円、Non-GAAP営業利益は200億円改善の510億円の赤字、EBITDAは241億円の改善で100億円の赤字。2024年内のEBITDA単月黒字の目標に向けて順調に推移している。

楽天モバイル 単体の業績。いずれも改善傾向が続き、EBITDAの単月黒字が間近になった

 11月10日時点の契約数は812万回線で、MNO契約数は741万回線となった。MNOサービスの売上も42.2%増の431.8億円まで成長した。「短期的なポイント獲得目的のお客さま」(三木谷氏)が解約率を押し上げているため、それを除いた「真水の解約率」(同)は1.09%。ARPU(1ユーザーあたりの月間平均収入)は2801円で、目標の3000円に近づいていると三木谷氏。

楽天モバイル MNOサービスの売上が増加。回線数、解約率、ARPUのいずれも堅調だ

 第3四半期は例年契約数の増減が落ち着く時期だが、「堅調だった」と三木谷氏は振り返る。楽天市場や楽天カード、楽天銀行といったグループサービスからの流入も多いという。家族向けのプログラムなどによって、「若年層は極めて好調」(同)という状況だが、「大きな課題でシニア層が少し弱い」と三木谷氏。これについても最強シニアプログラムを投入したによって、前年同月比で75%増の獲得となったそうだ。

楽天モバイル 春商戦以降は9月頃まで動きが減るが、それでも前年同月比よりは堅調に動き、活発になる秋以降は順調に伸びて勢いを継続した
楽天モバイル 家族向けのプログラムで、シニアプログラムの提供で懸案だったシニア層の獲得が増加した

通信品質の改善も楽天モバイルの好調を後押し

 MNPも順調で、「好調の裏で通信品質が相当改善しており、満足してもらっている」と三木谷氏は胸を張る。さらなる改善に向けて、地下鉄や屋内、ビル間の路地、人混みといったエリアでの改善を図る。地下鉄では、東京メトロで帯域の20MHz化を進めており、従来の5MHz幅から40%まで拡大したという。2026年3月末までにはこれを100%にする予定だ。

楽天モバイル MNP獲得も好調と三木谷氏。ただ、各社MNPが不調という話はしておらず、それぞれ異なる指標でMNPを語っているようにも見える

 関東地方での5G出力強化で5Gへのトラフィック分散で人混みやラッシュ時の体感を向上させる、といった工夫や5Gネットワークの整備を進め、ネットワークカバレッジを拡大する。

楽天モバイル エリア拡大だけでなく、弱いエリアの改善も継続している
楽天モバイル 地下鉄では東京メトロの通信品質改善をアピール。現状はまだ40%止まりだが、2026年3月末までに完了する予定
楽天モバイル 各社が重視するOpensignalの調査で、5Gダウンロードスピードが国内1位だった点をアピール

 加えて、災害の停電時には遠隔制御で基地局を省エネモードにしてアップロード速度を抑えて基地局の予備電源を延命する技術を導入する。これによって通常は3時間程度の所、4〜5時間まで延長できるという。

楽天モバイル 停電時に出力を抑えて基地局予備電源の長寿命化を図る

 「大きな戦略」(三木谷氏)として、AIも活用しつつネットワーク全体で最大20%のエネルギー節約も目指す。仮想化ネットワークだからこそできる取り組みとして、2025年以降本格展開する予定だ。

 衛星通信のAST SpaceMobileは、2024年9月12日に商用衛星「Block 1 BlueBird」5機を打ち上げ、アンテナ展開も完了した。これによって米国全土で通信ができることを確認したとのことで、2026年中に日本全域をカバーし、災害時でもつながるネットワークを実現する計画。「地理カバー率ほぼ100%を2026年に実現すべく、鋭意努力している」(三木谷氏)。

楽天モバイル ASTのビジネスも順調に進展している
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